猫、肥大型心筋症で死ぬ。最近、多い。 | 乖離のぶろぐ(*´∀`)吸い込んで応援
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%82%A5%E5%A4%A7%E5%9E%8B%E5%BF%83%E7%AD%8B%E7%97%87
肥大型心筋症(HCM: Hypertrophic cardiomyopathy)は、明らかな原因がないにもかかわらず、局在性の心筋肥大を起こす病態である。

本症は心筋肥大による左心室の拡張障害が主体である。拡張期が短縮することにより、心室に血液が充分に流れ込まなくなる。その結果、全身に流れる血液量が不足したり、心室→心房への逆流が起こることによりひいては肺水腫に至って呼吸困難を呈したりする。
心房細動の合併が多い。


http://is.gd/y4haBl
2011年10月13日 (木)
ネコの心筋症(3)
昨日10月12日の午前10時30分頃、白ちゃんは亡くなりました。

9月14日の入院以来、状況が落ち着くたびに当ブログにて報告のエントリを上げていくつもりでしたが、結局あまりその機会がないまま、結末を迎えてしまいました。

最期は妻が看取ってくれました。自宅の寝室で、3回ほど咳をした後すぐに呼吸が止まったそうで、あまり苦しむ事なく楽になれたようです。その後病院に運んで心臓マッサージもしましたが、もう心臓が再び動く事はありませんでした。

心筋症が発覚した最初の入院は6日後に退院となり、それから2週間ほどは比較的落ち着いて過ごせました。
先週火曜日になると白ちゃんもかなり元気になり、夜は後ろ足を引きずりながらも自ら寝室に入ってきたので、久々に家族4人(2人+2匹)で一緒に眠りました。しかしその夜中、白ちゃんの呼吸が荒い事に気付き、2回目の緊急入院となりました。
その4日後にはなんとか退院し、亡くなる前の夜、やはり白ちゃんは自ら寝室に入ってきて、また家族4人で静かな夜を過ごしたのでした。穏やかでとても幸せな時間でした。
今思えば、これは白ちゃんから私たちへの最後のご褒美だったのだと思います。2回目の入院の夜から、白ちゃんは既に何かを悟っていたのかもしれません。

決して十分な長さではありませんでしたが、5年間に渡って妻と私にエネルギーをくれ、また最後の1ヶ月間頑張ってくれた白ちゃんに、心からお礼を言いたいと思います。

白ちゃん、ありがとう。


http://n-arai.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/2-1804.html
2011年10月 4日 (火)
ネコの心筋症(2)

夜間救急病院から自宅へ戻る車中、妻はぽつりと一言いいました。「・・・急すぎる・・・」と。

心筋症による血栓発作の特徴は、まさにこの一言に象徴されるようです。自宅に到着した時刻は、記憶が曖昧ですが日付が変わる直前くらいだったと思います。白ちゃんが後ろ足を引きずっていたのが夜の8時半頃でしたから、まだ4時間も経たぬ間の急展開でした。

動転してしまい眠る気にもなれず、とりあえず心筋症に関する基礎知識を仕入れようと、NETでいろいろ調べました。
NETではうちと同様の状況になったネコの例がたくさん見つかりました。うちと同様、ほんの数時間前まではネコの心筋症という病気自体知らなかったというパターンが多いようです。

NETで得られる情報はどれもこれも暗澹たる話ばかりで気持ちはどんどん沈んでいきました。
血栓発作を発症したネコの70%は死亡し、残り30%のうち50%が半年以内に再発すること。2度目の血栓発作でほぼ100%死亡すること。発作後多少持ち直しても、直後に急変して死ぬ例も多いこと。心筋症は根本的に直す方法がなく、発症したらもう長くは生きられないこと。

心筋症自体はよくある病気ではないが、決して珍しいわけでもない。しかしながらこの病気の知識があらかじめあったとしても、普段の生活で予防できるかというとそうでもない。
白ちゃんは肥満ネコなので、それが良くなかったのかとも思いましたが、心筋症になる原因ははっきり分かっておらず、生活習慣(つまり飼い主の普段の世話)の悪さが原因というワケでもないそうです。心臓の病気というと人間でも肥満が原因などと聞きますが、実は肥満との因果関係はない、という研究もあるのだそうで、ネコの場合はむしろ体重がある程度あった方が、投薬量を増やせて有利などという見方もあるらしいです。
こうなると、この病気にかかるもかからないも、もはや運でしかないのかもしれません。飼い主が自分を責めるには当たらないという点が、救いであると同時にもどかしい部分でもありました。

ただ、希望がまったくないかといえばそうでもなく、最初の血栓発作を乗り切り、数年生き続けたネコもいるのだそうです。残念ながら長く生きられない事に変わりはありませんが、覚悟もままならぬうちにほんの数日で急死してしまうことに比べたら、こんなに幸運なことはないだろうと私には思えました。

そんな希望を抱きつつも、最悪の状況になった場合の落胆に耐える自信が私にはなく、悲観的な予想を頭の中から完全に排除する勇気は持てませんでした。
病院から緊急連絡が入らないことを祈りつつ、午前3時頃に私は浅い眠りにつきました。


・・・まったり続けます。

http://n-arai.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-fd57.html
2011年9月29日 (木)
ネコの心筋症(1)

何度かこのブログでも取り上げてますが、ウチには2匹のオスネコ(去勢済み)が同居しています。5年ほど前に、東京都で捨て猫の保護活動をしている方から、生後3ヶ月くらいの頃に譲り受けました。
1匹は茶トラで名前は「キャラメル」、もう1匹は全身白で名前は「マシュマロ」といいます。ただ、どちらも名前が長くて少々呼びにくかったため、今ではもっぱら「茶ーちゃん」「白ちゃん」と呼んでます(笑)。

完全室内飼いで、どちらもこれまで大した病歴のないネコでしたが、9月14日の夜、白ちゃんの両後ろ足が突然動かなくなりました。

ほんの数分前まで普段通りに歩いていたのに、まるで腰が抜けたように後ろ足が立たない状態でした。「ネコはイカを食べると腰が抜ける」などという話(どうやらデマですが)が真っ先に頭に浮かび、何か変なものでも食べたかと最初は思いました。
しかし後ろ足を引きずりながら落ち着かなそうにあちこち動き回り、見るからにただ事ではない様子。妻もひどく心配そうだったので、NETで見つけた夜間救急専門の動物病院に電話をしてみました。電話口の先生は症状を聞くなり、心臓が悪くて血栓が腰の辺りに詰まっているかもしれない、緊急を要する状態なので直ちに連れて来てくださいとの事。

車で病院に向かう20分間、白ちゃんはキャリーバッグの中でしきりに鳴いてました。病院に行ったことはワクチン接種等でこれまでも数回ありましたが、こんなに鳴くのは初めてです。口を開けてハアハアと苦しそうに息をしており、これも今まで見た事がない症状でした。

病院に着いて直ちに診察を開始。先ほど電話口で話した先生は丁寧に説明しながら処置してくれました。後ろ足の肉球が、前足に比べてかなり白く冷たくなっており、「わざと深爪して血が出るか確認します。血栓症だと血が出ません」とのこと。はたして血が出る事はなく、血栓症と判断されました。
なんでもこの症状は大変な痛みが伴うとの事で、ネコによってはのたうち回って痛がるのだそうです。白ちゃんはのたうち回ることはなかったですが、車で移動中に鳴いていたのは、やはり相当に痛かったのだろうと想像できます。まずは前足の一部の毛を剃って点滴用の針を刺し痛み止めを注入。その間別の先生に「最悪の事態も覚悟しておいてください」と言われました。そう言われる事は何となく既に予想していたものの、にわかにピンとくる話ではありませんでした。

20~30分後くらいでしょうか、妻と一緒に胸部のレントゲンとエコー検査の結果、肥大型心筋症が白ちゃんの病名であるという説明を受けました。これは心臓の壁が次第に厚くなる病気で、血液を送り出す力が弱くなって血の固まりができやすくなります。その固まりが何かの拍子に心臓から流れ出してどこかの血管を詰まらせるのが血栓症です。
ネコの場合、動脈が両後足に分岐する辺りで詰まるのが典型例だそうで、白ちゃんはまさにその状態に当てはまっていました。
また、同時に肺水腫を起こして呼吸が苦しくなるのも通例らしく、レントゲン写真を見ると肺に水が溜まり、確かに白く濁っていました。
とにかくかなり重篤な状態であるとのこと。まず血栓を溶かす薬を投与するか否か、先生から判断を迫られました。それと言うのもその薬は非常に高価で、6万円程度もするのだそうです。しかも、効果がどの程度出るのかも分からない。しかし私は費用面に関して迷う気は全くなかったので、できる事はなんでもして欲しいとお願いしました。
(後から知りましたが、この薬は結構な劇薬で、他に悪影響が出る可能性もあるとのことです。ただ、そう説明を受けたとしても、私は同じ判断をしたでしょうし、結果的にも良かったと今回は思っています。)
その後、おそらく今夜が山になると伝えられました。「まず肺が止まり、その後心臓が止まるでしょう。蘇生処置を施す事もできますがどうしますか?」
横で一緒に聞いていた妻がフラーっとしゃがみ込みました。

心筋症は普段目立つ症状がなく、今回の白ちゃんのような状態になって初めて発覚する例が結構多いのだそうです。私もネコの心筋症自体を今回初めて知りました。
もちろん、検査をすれば事前に心筋症を知ることは可能です。しかし、白ちゃんは多少肥満体型ではありましたが、普段呆れるくらい元気なネコだったので、定期的な健康診断を始めるのはもう少し後でも良いだろう、とこの5年間を過ごしてきました。たぶんこの子は20年くらいなら軽く長生きすると、大した根拠もなく妻と信じ込んでいたのです。

なのにあまりにも急な話。

しばらく妻と考えました。できる限りの治療は行って欲しい。ただし、蘇生処置は考えただけでも辛い。もし助からないのなら、苦しませたくはない。妻と私の考えは一緒でした。

先生には、今の治療を継続してもらう事、しかし万が一の場合、蘇生処置はしなくていい事を伝えました。
「分かりました。では今夜はこちらでお預かりします。お帰りになる前に会ってあげてください。」
先生はまるでもう生きているうちには会えないような言い方をしましたが、たぶん実際にそんな可能性が高かったのだと思います。
病院のスタッフの方々が沈痛な面持ちで見守る中、私と妻は白ちゃんに会いました。白ちゃんは酸素室に入っており、呼吸は結構落ち着いているように見えましたが、朦朧とした表情でした。前足から伸びる点滴の管が痛々しく、私は年甲斐なく涙が出てきました。

このままそこで一晩付き添っていたいとも思いましたがそうもいかず、5分間ほど白ちゃんを撫で、声をかけてあげたあと、私と妻はひとまず家に帰りました。


緩やかに続きます。