パピートレーニング 翔丸(とびまる)編 ⑯ | ぽちのせんせい

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千葉県を中心にドッグトレーニングのお仕事をしています

翔丸のパピートレーニング、

今回は『抱っこ』のトレーニング。

 

『抱っこ』って抱っこするだけじゃん、と思ったら大間違い。

 

『抱っこ』には結構深い意味がある。

 

我々はサルなので、

幼い時期は母親に抱っこされて育つ。

だから、潜在的に抱っこされることに

安心感や愛情を感じる生物なのだろうが、

 

犬はというと

母犬の懐に入ったり、寄り添ったりすることはあっても、

母犬が子犬を前足で抱っこすることはない。

移動は基本的には首あたりをくわえて持ち上げるスタイル。

 

その違いからなのか、

活発な子犬は『抱っこ』を好まない場合が多い。

 

遊びたい走りたい動き回りたいお年頃に

人間がする『抱っこ』は拘束されるようで嫌なのだ。

少なくとも『抱っこ』を『愛情』とは思わない。

人間が抱きしめるのが『愛情』と理解するのはもう少し先の話。

 

もちろん、犬は千差万別なので、

子犬の段階でも『抱っこ』を好む犬もいるのは間違いない。

が、そんな子犬でも時と場合によっては嫌がるし、

長時間の『抱っこ』などは嫌がることもある。

 

我らが翔丸はもちろん前者で、

『抱っこ』は嫌い。

「離せー!!」

と言ってくねくねと暴れる。

 

 

しかし、どんなにお好みでなくても、

飼い主に『抱っこ』されることには諦めていただく必要がある。

 

 

これから先翔丸は、

シャンプーやグルーミング(お手入れ)

病気の診察や治療など

人間に拘束され、翔丸自身があまりうれしくないことをされる

機会が一生ある。

 

そんな時、翔丸が毎回「離せー!!」と言ってくねくね暴れてしまうと

ハサミやバリカンで思わぬ怪我をしてしまったり

きちんとした診察や治療ができなかったり

『抱っこ』から落っこちたり、

場所によってはその後事故に巻き込まれたりなど

色々な可能性が考えられる。

 

そして『抱っこ』のトレーニングは、

飼い主に対して『ちょっとやそっと暴れても動じない相手である』

という印象を与える良い機会でもある。

 

 

 

やり方は

 

① 子犬をまず『へそ天』状態で抱く。

 

② わきの下から肋骨のあたりを軽く押さえる。

 

③ 暴れたり起き上がろうとしたら、押さえた手でキュッと瞬間的に力を入れる。

(※ぎゅうーっと押さえつけるのではなくキュッと瞬間的というのがポイント)

 

④ 動きがおさまったら、手の力を緩める。

 

⑤ 起き上がろうとする動きがなくなるまで③~④を繰り返す。

 

 

『へそ天』にする理由は、

まずは押さえられても痛くないこと。

それに、子犬が逸走するためにはひっくり返る必要があるので、

そのひっくり返る動きを封じることで、

こちらの意思を伝えやすいから。

 

四肢が下でもできなくはないが、

逸走するための動きの種類が増えてしまうので、

何がダメなのかが子犬に分かりにくいように思う。

 

犬に何かを伝える時は、

動きはひとつだけの方が分かりやすいと私は思う。

 

『抱っこ』のトレーニングで、

ある程度子犬が諦めて大人しく『抱っこ』されるようになったら、

 

足先を触ったり、耳や口を触ったり、

コーム(櫛)やブラシなどで触れたり、

タオルで身体をなでたり、

 

など、これから必要になることをしていく。

 

さて、トレーニング中の翔丸の様子は

 

 

最初は「離せー!!」と暴れていた翔丸だったが、

数回キュッ、キュッと押さえたら、

あっという間に諦めた様子。

 

コームにもオモチャ同様に噛みつこうとしたが、

ここでもまたキュッ、で即諦めた。

 

諦めた後は、ぶきっちょな飼い主のコームさばきにも動じることなく

じっとされるがままになっていた。

 

翔丸は、ベッドやシーツなどを破壊するので

一見すると暴れん坊な犬に見えるかもしれないが、

実はとても理解力は高く、素直な性格なのだ。

一度覚えたことはマジメに守る。結構律儀。

 

ご家族が多い場合は、

家族全員がそれぞれできるようにトレーニングしよう。

犬は自分が諦めた相手にしか大人しく『抱っこ』はされない。

 

 

続きはまた次回。