パピートレーニング 翔丸(とびまる)編 ⑭ | ぽちのせんせい

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前回の続き

課題 『パピー期のおいで』のトレーニング

 

本格的に『おいで』のトレーニングをするのはもう少し先の話。

今回、翔丸とトレーニングしたのは

『パピー期のおいで』のトレーニング。

 

本格的とパピーと何が違うかと言うと

それは後程説明するとして…

 

 

まずは『パピー期のおいで』について説明しよう。

 

みなさんは犬たちが犬たち同士で名前を呼びあっているのを

見たことがあるだろうか?

 

犬にしても、犬が野生だった頃であったとしても、

犬は犬同士お互いを名前で呼び合うことはない。

 

つまり、『名前』という概念は人間に飼われるようになったことで

出来上がった概念なのだ。

 

『パピー期のおいで』とは、

『おいで』という行動そのものよりは

『名前』という概念を定着させるのが主な目的。

 

『名前』とは『呼ぶ』ものなので、

『おいで』と絡めると教えやすいのでそうしている。

 

 

 

トレーニングの仕方は至って単純

 

 

①二人の人がそれぞれフード(トリーツ)などを数個手に握っておく。

②一人の人が犬の名前を呼ぶ。

③犬が来たらフード(トリーツ)を与える。

④もう一人が少し離れた所から犬の名前を呼ぶ。

⑤ ②~④を繰り返す。

 

名前のついでに『おいで』という言葉も覚えさせたいので

「翔丸」「おいで」と区切って両方の言葉を使ってみた。

 

最初は飼い主であるご住職の手を

私の手と同一のものであると思わなかったようで、

「お食べ」と出した手のひらのフードになかなか気がつかなかったり、

 

最初にもらえた人の元からなかなか離れなかったり、

 

翔丸なりにフル回転で知恵を働かせている様子。

 

そして、上記トレーニングを数回繰り返していたら、

 

翔丸が速すぎてこんな写真しか撮れなかった…

 

呼んでもいないのに二人の間を行ったり来たりするようになった(笑)

 

ある程度できるようになったら、

二人の人の距離を離したり

それぞれが見えない場所から呼んだりする。

 

ひとりでトレーニングする場合は、

翔丸が何かに気をとられていたり、

どこかに潜り込んで宝探しをしていたり、

何かをくわえて走り回ったり、

色々な場面で呼んでみて欲しいとお願いしておいた。

 

このトレーニングでは

『名前』に対して良いイメージを持ってもらうこと、

飼い主に呼ばれることに対してワクワクしたイメージを持ってもらうこと。

が目的である。

 

パピー期の子犬はまだ思考が単純なので、

『楽しそう』『おいしそう』のイメージだけでも『おいで』ができる。

 

しかし、それはパピー期だけで、

犬も少しずつ成長し知恵がついてくると

フードやトリーツがもらえるくらいでは

そう単純に『おいで』もしなくなる。

 

その頃が本格的に『おいで』をトレーニングするのに

絶好の機会となる。

その場合の『おいで』はもう少し強制力のある『おいで』になる。

 

『パピー期のおいで』のトレーニングは、

『おいで』そのものよりは、『良いイメージ』作りの意味合いが大きい。

 

普段の生活において、飼い主が子犬を呼ぶ時、

大抵は子犬にとって損になることが多い。

 

例えば、

楽しく遊んでいたのにケージに戻される

宝物を見つけてくわえていたら取り上げられる

 

飼い主が子犬を呼ぶのは『捕まえる』ためで、

『捕まえられた』後あまり良いことはない。

だから、逃げ回るようになってしまったりするのだ。

 

それでも、

10回呼ばれた内、1回は損したとしても

残りの9回は良いことがあるなら、

飼い主から『呼ばれる』ことが

『=損する』というイメージにはなりにくいのではないだろうか?

 

本格的な『おいで』のトレーニングまでの繋ぎには充分だろうと思う。

 

続きはまた次回

 

追記。

翔丸くん、ケージから出すと呼んでもいないのに

飼い主から離れなくなったとのこと。

非常に察しの良いヤツ。

飼い主談

「呼べない…」(笑)

でも、トレーニング的には◎