太宰治 ADHD(注意欠陥・多動障害)説   富永国比古  その2 | やるせない読書日記

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 太宰治ADHD説 その1 の続き。文中の用例を書き写して

いるうちに訳が分からなくなる。自分でさえ、後で、読み返

すこともないのに、そうハッチャキになることもないのだ。

 でまあ、太宰治が自分に割り当てられた生には多動性

障害やアスペルガー症候群があり、更に幼年期の性虐待と

二重、三重の蹉跌があった訳になる。

 筆者は小学生の頃、教師に犯された女性の例などを

挙げているが、読んでいて気分のいいものではない。ま

た性被害は女性だけでなく、男性が主に男性から受けた

性被害も多い。

 幼児期に受けた性被害の一番の問題は、人間の精神

の深奥部を傷つけることで、自分に価値を見出せなく

なり、最悪、自死に至る。

 精神的外傷の度合いもひどく、発作などの症状に襲

われる。作家の有島武郎は自殺したが、有島は青年期

に男性によるレイプを二回も経験している。太宰が何度

も自殺を試みたのも、自己肯定が幼児期の性被害体験者

として困難であったとしている。

 そして、性的被害者の究極的な救済は宗教という至上

の存在に求められる。だから太宰治の聖書、キリスト教

への傾倒もこのことが起因している。

 と言った内容であると思う。

 この本で男女含めた若年のレイプ被害の実態を見ると

二千五百名ともいわれる被害者を出したジャニー喜多川

の犯罪を看過し続けたマスコミや日本社会も反省した

方がいい。