今日はすごい雨だったが、6時からN君とSさんとこんど摂る映画の打ち合わせ。といっても10分に
満たないショートムービーだけど。今まではシーンが多く撮影に時間がかかり大変だったので、一日
で撮れるワンシーンの映画ということでシナリオを作った。上石神井のバラエ亭で打ち合わせ。終了後
若者はまた飲みに俺は雨上がりの静かな街を電車に乗って帰る。西武線でエビちゃん風の女子大生
が何人かいた。脚本は以下のとおり
従姉弟同士(カメラ、音響テスト用)
昼下がり。五月。風にそよぐ木々。雲。青空等
大学生の治、サークルの合宿が終わって家に帰ってくる。テニスのラケット。旅行用のかばん。家の俯瞰。
室内、二階にあるリビング。窓外に木々が揺れている。二十歳くらいの少女(美樹)がリビングにいる。テーブルに突っ伏している。寝ているわけではないが目を伏せている。
テーブルの上にサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」
玄関が開いているのに誰もいないのを不審に思う治。
「母さん。いないの?」
リビングに上がっていく。
リビングに上がり少女(美樹)を見て驚く。
窓外の緑。
美樹、物音に気づき治を見る。
「こんにちは。治ちゃん。」
「君は」
「忘れたの、従姉弟の美樹よ」
気がつく治。
「ああ。」
「あなたがまだ中学生の時に一回会ってるわよ。」
「田舎のお祖父さんの葬式で」
「和子叔母さんのところの美樹ちゃん」
「そう。治ちゃんM大でしょ。テニスのサークルやっているんだって。おばさんから聞いたわ。」
「うん。おふくろは」
ソフアに座る治。
「今、ちょっと出てる。薬局。」
「秋田市だったよね。」
「そう。田舎よ。福島の本家からもっと遠くに母親は嫁いだのよ。」
「今は?横浜の女子大だっけ」
「うん。たまには挨拶してこいって母に言われて」
「ふーん。」
「煙草吸っていい。」
タバコを吸う美樹。所在なげな治。
「治ちゃんて、中学のイメージと全然変わっていないね」
返答に困る治。
「美樹ちゃん、高校生だったから大人に見えたよ」
クスっと笑う美樹。
机上の「ライ麦畑でつかまえて」が目に入る治。
「サリンジャーか。俺も読んだことあるよこの本」
「ほんと珍しいわね。サリンジャーが好きなんて」
「そうだね。」
少し離れた距離で二人を撮る。
階下で玄関の開く物音。
母親の声がする。
「治。治ちゃん、帰ってるの。従姉弟の美樹ちゃんが来てるのよ。」
おしまい。
あ、たったこれだけか。7月17日に撮る予定です。