間違えながら学んでいくのさ | やるせない読書日記

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with   every mistake  we  musut  be  lenaning 


は有名な while   my   guiter  gently     weeps   の一節だ。


これはいい曲だ。ビートルズのコピーバンドが出演するクラブ


で一番、リクエストが多い曲らしい。日本人の心情にピッタリくるんだろうね。


ブライアン・エクスプタインが1967年8月に死んでからビートルズは自分たち


で良くも悪くもやっていかなければならなかった。アップルの起業と崩壊。


ポール発案の映画「マジカル・ミステリーツアー」の製作。インドへの旅。


サイケデリックとヒッピームーブメント。バンドの変換期でジョンによる統率が


失われた状態。ジョンのバンドへの関心の低下。だんだん傲慢になって


行くポール。エコノミークラスのビートルズで満足できなくなったジョージ。


温厚なリンゴの脱退宣言。そんなこんなの状態で作られたアルバムの


中の一曲だ。横尾忠則はビートルズは世界のアンテナだと言ったけど


全く67年から70年までビートルズは世界中の最先端の感性を一身に


集めた存在だった。こんな存在はビートルズ以前、人類史上なかった


事だ。ビートルズ以降いないけどね。


この歌は本当にせつない歌だ。


  愛は人々の内で眠ったままらしい。


  僕のギターがすすり泣いている間も


  床に目をやればそこには埃が積もっている


  僕のギターはひそやかにすすり泣く。


うーーん。素晴らしい。何が良いって。


I look  at  the  floor  and  I see  it  needs  sweeping 


このフレーズだ。掃除をしてない床に埃が積もっているという


状態とそれを見ているギターを弾いている自分の存在が浮かび


上がる。こんな歌詞、日本の「ロック(本当はロックとは言いたくないん


だよね。)の土壌では後1000年待ってもでてこないだろう。


歌の構成は実に単純だ。マイナーの「ひらうた」とむりやり転調のサビを


繰り返すだけだ。とくに「ひらうた」はベース音が当時流行の半音ずつ下がる


展開になっており奇妙な安定感がある。


 世の中の営みは脈々と続く


 僕のギターがすすり泣いている間も


 僕らは失敗を重ねながらも物事を学んでいく


   僕のギターはひそやかにすすり泣く



1968年にこの曲を作ったときジョージは25歳だった。


while   my   guiter  gently     weeps   はジョンとポールに曲の面


でもバンド内の人間関係でも年下のジョージが彼らに拮抗してきた


証明になった。初めアコギとキーボードだけのシンプルな曲はバンド


構成のものみんなで作り変えられていった。そして何よりクラプトンに


リードをとらせたのも自分の力を天才と神童に見せ付けることになった。


ジョンがキーボード。(最初の掛け声はジョンらしい。)ポールがベース。


リンゴがドラム。(リンゴが叩いていない曲がホワイトアルバムにはあるらしい。)


ジョージがサイド。そしてクラプトンがレスポール(多分、コーラスをかけてある。)


でリードだ。外部からリードギターを引っ張ってくるなんて初めてのことだった。


当時、クラプトンはジョージの舎弟格。ここで「カメレオン」クラプトンは


ビートルズというバンドにピッタリのプレイをする。壊れた甘いレスポールは


本当に泣いている。


この曲は僕の知っている限りだと


 バングラディシュコンサート、何回目かのプリンストラスト、ジョージの


 日本公演、そしてコンサートフォージョージ


でライブ演奏された。最後のコンサートフォージョージ以外、クラプトンと


ジョージのギターバトルが堪能できる。


コンサートフォージョージはジョージ・ハリスンの追悼コンサートだった。


ギターバトルは無くクラプトン一人で演奏した。


間違えながら学んでいく  というフレーズは僕を長い間、勇気づけてくれた。


そう何事も間違えながら学んでいくのだ。



※邦訳は「ビートルズ全詩集」内田久美子による。