澁澤龍彦に「フローラ逍遥」というエッセイがあり荷風も
「断腸亭日乗」に花がどうとか書いていたようだ。ただし二人
とも自分では丹精こめて育てた事はないようだ。
花の栽培は極めて日常的なことで洗濯や掃除と同じだ。
まあ、炉端の花や人が丹精を込めて育てた花をああだこうだと
言っているのが一番いい。
僕もその口でガーデニングとか言ってやってみたが面倒みるのが
大変でやめてしまった。
ジャン・ジュネの詩に
恐れよ すみれの花々のなかの死者たちよ
というフレーズがある。
なるほどすみれの深い青は夜のようで死者が潜んで
いるかもしれないが、商店街で買った一株80円の
すみれの改良種であるパンジーにも死者はいるん
だろうか。
僕はパンジーが好きだ。
寒さに強く花期が長く
美しさで
人間を慰めてくれて
おまけに安い。