盆踊り夏の夜だった。僕の記憶の常でうら寂しい印象。 母と僕は二階の部屋にいた。 窓外は夏の闇が広がっている。昔は今より闇が深かった。 遠くから盆踊りの太鼓の音が聞こえた。 臆病な僕はそのもの音に怯えた。 母は縫い物の手を休めて、あれは盆踊りの太鼓の音だと 教えてくれた。