受精後の初期の細胞分裂で
ダイレクト分割が起こると、
染色体はどうなるか
第63回 日本卵子学会シンポジウム
シンポジウム２
初期不規則分割は胚染色体解析結果に影響するか
-Direct cleavage & Reverse cleavage
渡辺真一
さわだウィメンズクリニック
ダイレクト分割とは
“胚の動態から妊性を推測する試みが数多く報告されているが、
我々は特に不規則な初期分割動態に着目している.
Direct cleavage (以下DC)と呼ばれる
1細胞が3細胞以上に分割する動態が知られており、
これによる染色体分配異常が悪念される．“
解説
Direct cleavage (DC)：ダイレクト分割
ダイレクト分割とは
通常では、
受精卵の細胞分裂は、
１つの細胞から２つの細胞にしか、
なりません。
しかし、
１つの細胞から３つ以上の細胞に、
分裂することがあります。
→ これを「ダイレクト分割」と言います。
「ダイレクト分割」を起こすと、
細胞の染色体が、
うまくいかない(分配異常)を
起こす可能性が大きく懸念されます。
胚盤胞到達率・妊娠率
(続き)
“発生初期のDCは
胚盤胞発生率を大きく低下させる．
しかしDCを呈しても
胚藤胞に到達した胚であれば
移植妊娠成への影響はないという報告は多い。“
解説
受精して細胞分裂が起こり始める、
初期の段階でのダイレクト分割は、
胚盤胞への到達率が、
低下します。
これは、元々言われている事で、
「ダイレクト分割を起こすと、
胚盤胞到達率は落ちるが、
胚盤胞まで育てば妊娠率は落ちない」
とされています。
染色体が偶数本か
(続き)
“我々はDCの胚盤胞正倍数性への影響を探るため、
患者同意が得られた廃棄胚機胞を用いて初期動態と
NGS解析結果の関連を検討したところ，
第二分割まで正常であった胚盤胞と
第二分割までにDCが見られた胚離胞の
正倍数率に有意差は見られなかった
（2020卵子学会）.“
「ダイレクト分割を起こしても、
胚盤胞にさえ到達してしまえば、
妊娠率は変わらない」
と言われています。
そこで実際に、
細胞分裂初期に、
「ダイレクト分割を
起こした胚盤胞」と、
「ダイレクト分割を
起こしていない胚盤胞」
の着床前診断を行って、
染色体の本数が偶数か調べた
との事です。
すると、差はなく、
染色体が偶数である割合は、
変わらなかった
との事です。
当院のダイレクト分割(例)
続きます。文・イラスト：理事 岩城桃子
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