【ppos法/黄体フィードバック法】ヒスロンやデュファストンで排卵抑制 | 岩城産婦人科妊活ブログ

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アンタゴニスト・アゴニスト法のHMG+セトロタイド+アゴニスト薬の代用として、
HMG+デュファストン+アゴニスト薬が、
多嚢胞性卵巣の方や、高卵巣反応の方に、
有効か調べた論文です。

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ジドロゲステロン、多嚢胞性卵巣症候群、LHサージ、調節卵巣刺激

dydrogesterone は PCO 患者における調節卵巣刺激の際の LH サージの代替の抑制剤として使用すること ができる。

※dydrogesterone・・・デュファストン
PCO 患者・・・多嚢胞性卵巣の方

O-240 The dydrogesterone and FSH protocol in patients with polycystic ovarian syndrome undergoing controlled ovar- ian hyperstimulation in IVF/ICSI cycle
A.S. Gurbuz1, F. Gode2.
1Novafertil IVF Center, Obstetrics and Gynecology, Konya, Turkey.
2Bahcesehir University, Obstetrics and Gynecology, Istanbul, Turkey.

プロゲステロンを利用した卵巣刺激(PPOS)は卵胞期における早発 LH サージを抑制するための GnRH アナログの代替としてプロゲスチンを用いる全胚凍結の際に使用することができる新たな卵巣刺激のレジメンである。

デュファストン、medroxyprogesterone acetate(MPA)およびnaturel micronized progesterone(NMP)は正卵巣反応の患者または低卵巣反応の患者におけるPPOSプロトコールにおい てゴナドトロピンと併用して用いることができる。
MPO・・・ヒスロン
DYG・・・デュファストン

しかしながら、全胚凍結の戦略は高卵巣反応の患
者に適している。

DYG は他のプロゲスチンよりも副作用が少ないとされている。そこで、PCO 患者に調節卵巣刺激を行う際に LH サージの代替となる抑制法 としてdydrogesteroneを使用することができるか否か検討した。

2017 年 4 月~ 2018 年 11 月の間に 488 名の患者を対象に後方視的研究を行った。
患者は 1:1 に 2 群に分け 1 群には デュファストンとHMGを用い対象は 242 名とした。また、2 群は recFSH+GnRH アンタゴニスト(セトロタイド)を用いた対象は246名とした。

これらの患者にはIVFあるいはICSIを施行し全胚凍結を試みた。
一次評価項目は採卵数とした。
対象者 はIVF/ICSIを受けることとしたPCO患者で年齢は35歳未満の患者であった。

 デュファストン群においては月経3日目からHMGを同時に投与した。
GnRH アンタゴニストプロトコール群においては調節卵巣刺激の 6 日目にセトロタイドを投与した。 
卵の成熟は 0.2mg のトリプトレリンでトリガーした。
いずれのプロトコールにおいても得られたすべて の生存胚は後の胚移植のために凍結保存した。
2 群間で背景に差異は認められなかった。

採卵数
デュファストン群14.2個
セトロタイド群 15.1個
採卵率
デュファストン群 76.2%
セトロタイド群 76.7%
群間で差異は認められなかった。

採卵あたりの生存胚が得られた割合
デュファストン  36%(1,314/3,642)
セトロタイド群  35.8%(1,331/3,718)
2 群間で差異は認められずそのオッズ比は 1.06 で あった。

調節卵巣刺激の全過程においてデュファストン 群における平均 LH レベルセトロタイド群よりも有意に高い値を示した。
しかし、いずれの患者においても早発 LH サージをみたものはいなかった。

また、卵巣過剰刺激症候群を認めたものもいなかった。

2 群間で凍結融解胚移植における臨床的妊娠率に統計的差異は認められず デュファストン 群 は5 6 . 7 % ( 1 1 8 / 2 0 8 )、セトロタイド 群は5 2 . 0 % ( 1 0 1 / 1 9 4 ) という結果であった。

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桜 院長の解説 桜

これは、多嚢胞性卵巣の方や、
高卵巣反応の方に対しての新しい治療法の提案です。

※高卵巣反応・・・卵巣がよく反応しすぎる、OHSSになりやすい方など。

デファストンを早期LHサージを防ぐ目的で、
治療に用いた方法です。

早期LHサージが起こると、
卵子の質が悪くなってしまいます。

セトロタイドの代わりという事です。

論文では、
デファストン+HMGのグループ
セトロタイド+HMGのグループ
に分けて比較しています。

デュファストングループは、
生理3日目からHMGとデュファストンを同時に飲み始めます。

セトロタイドグループは、
生理3日目からHMGを使い、
生理6日目からセトロタイドを使います。

トリガーはアゴニスト薬です。

採卵数の平均
デュファストン 14.2個
セトロタイド 15.1個
差がないです。

採卵あたりで得られた生存胚
デュファストン 36%
セトロタイド 35.8%
これも差はないです。

LHレベルについては、
デュファストングループの方が高い直になった。
つまり、
セトロタイドの方がLHを抑えられたという事です。

OHSSは起きなかったという事です。

臨床的妊娠率は、
デュファストン 56.7%
セトロタイド 52%

生存胚をどこまでの胚のことを言っているのかは、わかりません。
5日目の胚盤胞のことかもしれませんし、
そうではないかもしれません。

デュファストンの方が安いので、代用になるのではないかと言う論文でしたが、
これは、追試報告がないと判断は難しいと思われます。

早期のLHサージは起こらなかったとしていますが、
デュファストンは、LHレベルがセトロタイドよりも有意に高かったと書いているので、
この点については心配だと思います。

質の良い卵子を育てる上で、
早期のLHサージはよくないからです。

また、高卵巣反応の方や、
多嚢胞性卵巣の方以外には、
有効かどうかは更に不明となります。

今後の検討が必要です。

クローバー今日も皆様のお力になれますようにクローバー


日本語訳・グラフ作成 荒木重雄先生
IMT college 臨床医のための産婦人科医学講座
会員用テキスト

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