2月の新潟にしては珍しい、青空の気持ち良い日だった。
朝から父と2人で糸魚川に行った。
あの大火から5度目の糸魚川だった。
前月の訪問で、僕は一つ念願を叶えていた。
それは「谷村美術館を訪れること」だった。
雪の中に佇む谷村美術館と、それに併設された庭園「玉翠園」は、期待を遥かに上回る素晴らしさだった。
水墨画の中に居る様だった。
今日は父を連れて行ってやろうと思っていた。
お昼前の空き時間に、車で5分ほどの谷村美術館・玉翠園を訪れた。
今日は青空と残雪が美しい。
入口の門の脇にそびえる石は、なんと90tの天然岩を焼山から運んできたものだと言う。
外から見上げると観音様の姿に見える。
「でもこちらから見ると、空を見上げるゴリラに見えるという噂もあります。」
ガイドの女性が教えてくれた。
庭を見ながらお茶を飲んだ。
父は汁粉、僕は「バタバタ茶」をいただいた。
前回気になっていた名物の「バタバタ茶」は、長い茶筅を2本合わせた道具でよく泡立てて飲む。
ほんのり甘く、ほんのりしょっぱい。
上品な和菓子もとても美味しい。
これが巨匠・村野藤吾の手になる「谷村美術館」。
実はこの日はK嶋の御母堂の葬儀だった。
お斎があるので急いで葬儀場に戻った。
僕は生前の母上を存じ上げなかったが、お斎で色々な方から話を伺った。
この日の青空と白い雲がよく似合う方だったようだ。