下の記事は、神奈川県迷惑防止条例の事例についてのもの。
だが、どうにも腑に落ちない点がある。
神奈川県迷惑防止条例からの第3条1項2号の条文だが、ここには「下着」もしくは「身体(衣服で覆われている部分に限る。・・・)」とある。
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神奈川県迷惑防止条例
http://www.police.pref.kanagawa.jp/pdf/d0090_01.pdf
第3条 何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
(1)・・・・・・・・・・・・・
(2) 人の下着若しくは身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)を見、又は人の下着等を見、若しくはその映像を記録する目的で写真機その他これに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置し、若しくは人に向けること。
(3)・・・・・・・・・・・
(罰則)
第15条 第3条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
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つまり、「下着」又は「衣服で隠されている部分」という意味であって、通常の状態で表に出ている外観についてはこれに当たらないというのが、常識的な解釈である。
どこをどう読めば、ただの撮影がこれに当たるのか。理解に苦しむ。
しかも、「すぐに逃げることを心がけてください」という文章があるが、いささか驚いた。
法律家が、現行犯逮捕を免れるための手口を指南するという意味で、なんともお粗末過ぎる発言ではないのか。
ちなみに、比較のために、東京都条例の条文を読んでみると分り易い。
「第五条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
・・・・・・・・・・・・・
二 ・・・・・・・・・公共の場所若しくは公共の乗物において、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。・・・・・・・・・・・・・」
ここでは、普通に風景を撮影したりするときに、人が映り込んでいる分には問題はないということが、常識的に読み取れる。
ただし、注意すべきことがある。
他人の容姿を故意に、或はむやみに無断で撮影すると、相手の性別、年齢にかかわらず、肖像権侵害という不法行為に当たり、損害賠償されることもありうるということ。
カメラマンのマナーとして、事前に承諾を得るのが常識ではある。
しかし、刑事事件になるというのは、特殊な事情がない限り考えにくい。
その特殊な事情というのは、たとえば、「不審者」や「つきまとい」の嫌疑をかけられる状況下にある場合などである。
撮影者が、それを知らずにカメラを向けると即逮捕という事態も考えられなくはない。
下の記事の事例では、USBメモリ型という盗撮用カメラで撮っているという点で、悪質な隠し撮りという特殊事情に当たる可能性は高い。
なので、撮られた側が、憤慨して警察沙汰にしたいのはわかる気がする。
いずれにして、相手がだれであるにせよ、人物を被写体とする場合、無断撮影はリスクが高いと思った方がいいだろうね。
これは、プロカメラマンの間では、常識でもあるらしい。
『 「着衣の全身撮影」で逮捕 不用意に女性を撮影してはいけない
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2014年8月31日
下着を盗撮したわけでもないのに逮捕─―。こんな事件が川崎市で起きた。神奈川県警に捕まったのは同市環境局に勤める40歳の男。28日の夕方、東急田園都市線の車内で隣に座った女子大生(21)を撮ったのだ。
「男はUSBメモリーの形をしたカメラで動画を撮影。気づいた女子大生が警察を呼び、県迷惑行為防止条例違反で逮捕されました。撮った映像は女性の顔から足までの全身で、パンティーやブラジャーは写っていなかった。警察によるとスマホやカメラで撮っても捕まるそうです」(捜査事情通)
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■シャッターを切らなくてもアウト
「不用意に他人を撮影すると誰もが捕まりかねません」とは弁護士の山口宏氏。
「迷惑行為防止条例は女性の下着や身体を写して恥ずかしい思いをさせたり不安を抱かせた場合に適用されます。『身体』とは洋服を着た状態も指すので街で通行人の女性を撮り、警察を呼ばれたらアウト。カメラやスマホを向けただけ、シャッターを切らなくても捕まります」
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「見知らぬ女性を撮って騒がれたら速やかに立ち去り、時間的、場所的に間隔を取ること。現行犯逮捕が原則だから警察もしつこく追ってこないものです。『すぐに逃げる』を心がけてください」(山口宏氏)
生きにくい世の中だ。
』(nikkan gendai)
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/153003