たまには真面目に法律的思考を。と、民法456条と501条5号について質問を受けたので考えてみた。 | popo♪のブログ

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孔子も孫子も「治世救民」を天命として我欲のカケラもなかったそうです。「季布の一諾」が座右の銘として、孔子、孫子、老子、司馬懿に学んでいます。
ささやかながら幸運をお分けします。

民法債権編の「保証」の部分は、結構、議論のあるところのようで、分かりにくい。
立法者の想定外の事態も出ているらしく、紛糾することもあるという。

民法501条もご多聞にもれずややこしい。
とくに、共同保証人間の平等負担を規定する456条と501条5号との関係は分かりにくい。
その程度の知識と思考力なので、以下、独断と偏見で進めていることをお断れしておきましょう。

まずは、法律論から大雑把な言い方をすると。
民法の条文には目的があるということ。

ざっくり言うと、ほとんどすべての条文が、公平の観点からバランスをとろうとしているといえる。

456条は、共同保証人間の公平。
501条5号は、物上保証人にとって酷な結果にならないようにと願っているという配慮が見える。

以下、自説を展開するので、お暇な方はどうぞ。
ちなみに、「物上保証人に負担部分なし」について根拠条文は?と聞かれて困った。
そこで考えた言い訳も書いてみた。

※次回は、501条5号の具体例を「その2」で取り上げてみたい。


『456条と501条5号の解釈-その1-
1.物上保証人について

(定義)物上保証人とは、他人の債務のため自己所有の財産を担保に供する者(法律学辞典)をいい、弁済義務を負わない。
当然、456条でいう「(複数の)保証人」とは異なる。

強いて根拠条文をあげるとすると。。。
民369条1項「抵当権者は債務者または第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について・・・(優先的に弁済を受ける権利をもつ)。」
解釈上、物上保証人はこの第三者にあたるとされる(最判昭39.4.21、通説)。

第三者だから、弁済の義務はないので債務の負担部分もない。全財産が追及の対象となる債務者や保証人とは次元が異なる。

2.501条と456条の関係
 この二つの条文は、矛盾も対立もしない。

 誰かが全額弁済した場合、債権者の持っている権利を丸々取得できるというのが、弁済による代位の原則。
 しかし、その弁済者が保証人であったとき、物上保証人にとっては予期しない不利な出来事になることがある。
 それは、債権者が物上保証人の不動産に直に抵当権を実行した場合と比較してみるとわかる。
 後者の場合、物上保証人は、債権者の原債権を代位行使できる。したがって、債務者と保証人の二人に債務の弁済を請求できる。
 しかし、前者の場合、請求できるのは、債務者1人ということなる。(501条前段)
 そこで、公平の観点から、物上保証人の不利を解消するため、501条後段の5号が設けられたと思われる。
 この条文があることで、保証人が弁済をしても物上保証人に請求できる範囲が制限される。
つまり、物上保証人の責任は、頭割りの範囲に軽減されるということ。

 たとえば、保証人と物上保証人の2人だけなら、弁済した保証人が物上保証人に請求できるのは弁済額の1/2にとどまる。
 これは、456条の立法趣旨である公平の原則をさらに強化したものと思われる。
 ということは、501条5号但書も公平の観点から物上保証人の負担を軽減させる趣旨と推察できる。』
※「物上保証人に請求できる」という類の表現は、正確性を欠きますが、あしからず。
 正しくは、「物上保証人の担保に供した物件に対して債権者の権利を代位行使できる」かな。

-次回に続く-