溺れるナイフ | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

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備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

2016年 日本
監督: 山戸結希
原作: ジョージ朝倉 『溺れるナイフ』(別冊フレンド)
 
 
WOWOWにて録画鑑賞。劇場公開時に今を時めく菅田将暉くん主演で相手役が「ぼくは明日、昨日の君とデートする」も抜群に可愛かった小松菜奈ちゃんということで、気になりつつタイミングが合わずスルーしたもの。毎度ながら原作のコミックは未読ですが、多部未華子ちゃん主演で映画化された「ピース オブ ケイク」と同じ原作者だそうで。そう言われると、確かに同じニオイが^^。
 
 
まず、面白かったかどうかと言われると、わからない・・・多分、映画としては否。年齢という意味でも、自分の思春期を思い出してみても、共感できる部分は皆無なので感情移入はできないし、そういう意味で私にとって”楽しい””面白い”映画ではないです。が。しかし。菅田君の抜群の存在感と表現力が素晴らしく、もう殆ど、菅田君を観る為の映画といってもいいくらい。そして、そういう意味で、観る価値のあった映画です(*'ω'*)。
 
思春期の過剰な自意識と壊れそうな感受性。大人と子供の間の、曖昧で特別でパワフルで無力な時期を過ごす彼らのヒリヒリした感情や自分達が中心にいる、という世界観。共感はできなくとも、そういうことなんだろうな、と理解はできる。そして、そういった激しさと危うさにマッチした、時に過剰な自己陶酔にも見える映像と。自分の感性にはないものでも、そこで100%輝き存在を放っているキャストたちの存在感に見惚れました。そんな、映画のあらすじも少々^^。
 
 
手足が長く美少女の夏芽(小松菜奈)はティーン雑誌の人気モデルとして活躍していましたが、急に親の都合で父の郷里の浮雲町へ引っ越すことに。田舎町では東京から芸能人が来た、とざわめき夏芽は浮いた存在。そんな夏芽に、何の興味も示さないように見えたのは、代々土地の神主を勤めてきた由緒ある家系のコウ(菅田将暉)。乱暴で素行が悪く夏芽以上に目だった存在のコウが、出会った瞬間から気になって仕方がありません。
 
 
東京でも何かに熱中できず周囲と一定の距離感があった夏芽は東京に特別な未練もなかったけれど、田舎の閉塞した空気にもウンザリ。何の意欲もわかない彼女の感情が唯一反応するのは、コウの存在。コウに負けたくなくて、気を引きたくて、認めてもらいたくて、東京のエージェントから写真集の話を承諾。そして互いの引力に引き寄せられるように、2人は衝突し、恋に落ちます。
 
 
青春ラブストーリーのお約束、夏祭りの浴衣デートも勿論アリ〼。荒々しいコウ君ですが、さすが家柄と言うか家業というか、緩んでしまった夏芽の帯をサササっと治してしまうギャップ萌えも(笑)。若いカップルのハッピー坂を急上昇~ですが、この日、コウが火祭りに参加している間に夏芽に恐ろしい事件が。そして、この夜を境に2人の関係も、生活も、全て変わってしまいます。
 
 
菅田将暉君以外の主だったキャストも皆光ってました。「ちはやふる」でも好演していた上白石萌音ちゃんが演じるのは、コウの幼馴染で同級生のカナ。中学に夏芽が転校してきた時のクラスメートでもあり、周りが遠巻きにする中臆せず声をかけてきた最初の友達。昔からずっとコウのことが好きだけど身分違いで近寄りがたいコウには片想いでいい、と最初からあきらめているところがあって、中学生の時は髪の毛もボサボサで野暮ったくて自信なさげにオドオドしていたのに、高校生になったら髪の毛もツヤツヤ、制服もお洒落に着崩して何やら自信オーラ。
 
事件の後、憧れのスターから好奇とゴシップの対象に堕ち、コウとも別れ完全に孤立してしまい心を閉ざした”堕ちた偶像”的な夏芽と、まるで中学と高校で立場が逆転したかのような構図。事実、とても可愛い萌音ちゃんですが、中学時代の野暮ったさぶりと、その後の強弱のつきっぷりがお見事(´ω`*)。
 
 
コウやカナの長馴染みでやっぱり同級生、猟師の息子の大友(重岡大毅)が、とってもいい奴で~。幼い頃はコウと大親友で、何となくコウが離れてしまってもずっと気にし続けているし、明るく元気いっぱいに振る舞いながら常に周囲に気を配るできた男子(笑)。夏芽のことは綺麗な子、と好意は持っているものの、コウと夏芽の間の特別で立ち入れない絆を感じているので横連覇するつもりはなし。ピュアで正義の男なので、辛い目にあった夏芽をこれみよがしに下品な噂話にする連中のことが許せず、笑顔のなくなった夏芽が心配で一生懸命サポート。そんな大友と一緒にいる時間、夏芽もやっと徐々に笑顔を取り戻していきますが・・・。
 
 
何度も言いますが、菅田くんが本当に素晴らしい。勝手気ままに振る舞うコウも、自分の弱さが許せなくてわんわん泣くコウも、どうにもできない感情エネルギーを爆発させて暴れるコウも、夏芽を忘れられないコウも、どの瞬間も完璧。狐の仮面と白装束でたいまつを持って踊るシーンも、圧巻。いったい彼は、脚本の良し悪しとは無関係なところにいて、どんな内容であっても監督や演出が求めるものを理解できないこと、表現できないことなんて絶対ないんじゃないだろうかと感じます。すごいなぁ。まだまだ若いし、これからさらにどこまでいっちゃうんでしょうね(*'ω'*)。
 
 
お互いに特別で完璧で絶対の2人、夏芽とコウ。ほんの一瞬限りの、そして永遠の恋人。センシュアルな映像や手法も含め、全体的に映画を観たというよりも、ちょっと長いイメージフィルムを観たような気分。私としては、良い意味で。そして、ストーリーや感情を咀嚼しようとしなくても、よくわからなくても、画面でキラキラを輝きを放っている彼らを眺めているうちにあっという間に終わるので、時間を感じることもないです。映画そのものの好き嫌いは別として、菅田将暉という役者に興味があるならば一度は必見な感じの映画かと(*'ω'*)。
 
しかし・・・新年明けて半月近く経ちそうなのに、ようやく映画1本です。平日は仕事で、休日はその腹いせ(というわけでもないのですが^^;)で出かけて、体力気力が足りず・・・映画ネタが少なくてすみません~。もう少しお待ちくださいね。
 
年明け最初の映画というわけで、関係ないけれど新年らしい写真も載せておきまーす。今年も恒例の谷中七福神巡りをしてきました。ゴール後は、東京都美術館2階のカフェ(by上野精養軒)でひと休み→イタリアン→居酒屋とハシゴ酒(´艸`*)。つい最近まで2017年を引きずってましたが、一応ちゃんと新年らしいこともしました、のご報告(笑)。
 
 
最初のお寺の庭園で、恵比壽さんが釣りをしていました(笑)。そこに祭られていたのは恵比壽ではなく確か福禄寿だったんですけどね(*´ω`)。お天気で気持ちのいい休日でした~。が、毎年どんどん人出が多くなる・・・今年はあり得ないポイントであり得ない程の混雑でした(+o+)。
 
 
精養軒カフェのシャンシャン柄のコースター可愛いですよー♡。三次会では日本酒を一合頼んだらミニヤカンで登場!かわい~たのし~でたっぷり呑みました(笑)。