ぼくは
ペンギン。
たまに
くるしくなることが
あるんだ。
あるひ。
いぬくんが
はしっていた。
びゅーん!
びゅーん!
とっても はやい。
「いいなあ」
ぼくは おもった。
すると、
むねのあたりに
もくもく
くもが
でてきた。
つぎのひ。
わしさんが
そらを とんでいた。
ふわり
ふわり
かっこいい。
「いいなあ」
ぼくは また おもった。
すると
もくもく
くもが
もっと おおきくなった。
「ぼくは だめなのかな」
「もっと がんばらなきゃ」
「みんなみたいに ならなきゃ」
もくもく
もくもく
くもは
どんどん おおきくなった。
まえが
みえない。
たのしかったことも
みえない。
そのとき
うみが
きいた。
「ペンギンくん
その くもは
ほんとうに あるの?」
「え?」
ぼくは
あたりをみた。
いぬくんは
ただ はしっている。
わしさんは
ただ とんでいる。
だれも
ぼくに『だめだ』
なんて いっていない。
もくもくしていたのは
ぼくの あたまの なか
だった。
「そっか」
「ぼくは
くもをみていたんだ」
そうおもったら
かぜが
すうっと ふいた。
くもは
すこしずつ
うすくなった。
すると
ずっとそこにあった
うみが みえた。
「ぼくは およげる」
ぴしゃん
ぴしゃん
ぴしゃん
ぼくは
うみへ はいった。
およいでいると
ふしぎだ。
いぬくんは いぬくん。
わしさんは わしさん。
ぼくは ぼく。
それで
よかった。
