あれはワタシが小学校6年生の頃。
当時,「ギミアブレイク」という番組が夜の10時からやっていた。
大橋巨泉や石坂浩二などがでていた情報番組(?)だった。
ワタシは別に社会情勢に興味のある賢い小学生ではなかったが,この番組を見たくて仕方なかった。
というのも,この番組内で「笑うせぇるすまん」がやっていたからだ。
子どもながら,「笑うせぇるすまん」のブラックな笑いにひかれていたのだ。
次の日,友だちと「笑うせぇるすまん」の話をするのがたまらなく楽しかった。
しかし。
ここで問題が生じる。
けさゑだ。
けさゑは昔人間なので,二言目には「もったいない」と言う人だった。
電気をつけっぱなしにすれば「もったいない」
お風呂の水が「もったいない」
そんなけさゑだから,夜の10時過ぎまで電気をこうこうとつけて,さらにテレビまで見ているなんて「もったいない」こと限りない。
しかもそれが早く寝なければならない小学生の仕業だなんて許せるわけがない。
ワタシがテレビを見ていると,けさゑが寝ている奥の部屋から起きてきて
「うり~,こらぁ~,ねろぉ~このやろめがぁ!!ぶっさろうぞ(甲州弁で「ぶんなぐるぞ・たたくぞ」」
となまはげさながらの形相でやってくる。
「笑うせぇるすまん」を見るために,明日の友だちとの楽しい語らいのために,けさゑとの戦いが始まった。
部屋の電気をつけていると奥の部屋から起きてくるので,まずは部屋の電気を消してテレビだけつけて見ていた。
しかし,かすかに漏れる明かりでけさゑは感づき奥の部屋からやってくる。
「うり~,こらぁ~,ねろぉ~このやろめがぁ!!ぶっさろうぞ!!」
何度かその作戦をとったが,けさゑはめざとく気がつく。
(耳が遠いから音は聞こえないのだが,けさゑeyesは,かすかなテレビの光にさえ気がつくようにできているらい。)
そこで,なまはげが奥から来る足音がしたら,テレビを消して寝床に逃げる作戦に変え,数回成功した。
しかし,そのうちけさゑも気がつき,寝床まで追ってきて
「うり~,こらぁ~,ねろぉ~このやろめがぁ!!ぶっさろうぞ!!」
そこで,テレビの光が漏れないように,テレビを毛布で覆って見ることにした。
これにはけさゑeyesもかなわなかった。
ワタシは勝利したのだ。
「笑うせぇるすまん」を心おきなく見,翌日友だちと語らうことができるようになったのだ。
そして平和が訪れた。
余談だが。
ただ毛布で覆って,中に入って見ると顔がテレビに近すぎて目が悪くなると思ったので,
毛布の端を左右それぞれの足で固定して,横になって見ていた。
夜中に暗闇で大開脚のV字バランスを斜めに崩したような格好でテレビを見る小学6年生,女子。
目が悪くなる以前に心配することがあったのではないだろうか。
「笑うせぇるすまん」がそれだけ魅力的だったのか。