コメが買えない現実と「忖度の構造」──そして農相辞任へ
ここ最近、米価が再び上昇しています。
2025年5月11日までの1週間で販売された米の平均価格は、5kgあたり消費税込みで4268円。前の週に比べて54円の値上がりとなりました。
一時は18週ぶりに価格が下がり、少し希望が見えたかと思われた矢先の再値上がり──消費者としては本当に残念で、重たい現実です。
この状況にもかかわらず、JA全中の幹部は「茶碗一杯が50円で高いとは思わない」と発言し、農林水産大臣は「コメは買ったことがない。支援者からいただく」「自宅には売るほどコメがある」と発言。
このあまりにも“庶民感覚”とかけ離れた言葉に、国民の怒りは爆発しました。
そして昨日、ブログを公開しようとしていたそのとき、農林水産大臣が辞任の意向を示したという速報が飛び込んできました。
そのため、投稿をいったん見送っていましたが、今日あらためて、新しい大臣就任のニュースも加えてまとめたいと思います。
備蓄米は出しているのに、なぜ米価が下がらないのか?
「備蓄米を出せば価格は下がる」──これが農水省の想定だったはずです。しかし現実には、消費者の手元に届く米は足りず、価格は上がっている。
その理由には、以下のような問題が複雑に絡んでいます。
- 備蓄米を落札したのがJAなどの大手団体であり、その多くが市場に十分に出回っていない
- 卸売業者間での売買が解禁された結果、中間流通が増えて価格がかえって上がっている
- 備蓄米の流通が極めて遅く、3月に落札されたものが5月に入っても1.9%しか消費現場に届いていない(NHK報道)
つまり、「備蓄米を放出すればすぐに価格が下がる」という単純な話ではないのです。
問題は「忖度の構造」
ここで考えなければならないのは、『誰が何のために動いているのか?』ということです。
官僚は本来、国民のために動くべき存在です。政治家も、本来は国民の代表であるはずです。
しかし、実際には業界団体や支援者の意向を優先したり、将来の天下り先を意識したりして、政策決定が“国民本位”ではなくなっている。こうした構造を一言で表せば、「忖度の構造」です。
誰かが直接命令しているわけではないのに、“空気を読んで”、“出世や安泰のために”、“関係を悪くしないように”、勝手に動いてしまう。
この構造に手を入れない限り、いくら備蓄米を放出しても、いくらトップが変わっても、本質的な改善にはつながらないでしょう。
新大臣への期待と現実
新しい農林水産大臣は、かつて自民党農林部会長として農協改革に関与した経験を持ち、現在は水産総合調査会長を務めていた方です。一部では「農協との距離を取れる人では?」と期待する声もあるようです。
ですが、私たち国民にとって本当に重要なのは、誰が大臣かではありません。『コメが普通に買えるようになるのかどうか』。ただそれだけです。
- 備蓄米の入札制度を変え、価格を下げやすくできるか
- マージンの透明化を図り、流通構造を見直せるか
- 「買ったことがない」ではなく、消費者の痛みを実感できるか
こうしたことが、これからの評価の軸になるはずです。
最後に
「本当に国民のことを考えてくれている官僚や政治家は偉くなれず、自分のことだけを考えている人たちが出世する」。そんな構造がこの国を動かしているとしたら、それは最悪のシナリオです。
でも、まだ希望はあります。
私たち国民一人ひとりが、疑問を持ち、声を上げ、「おかしいものはおかしい」と言い続けることで、少しずつでも社会を動かすことはできるはずです。
これからも、こうした問題について考え、発信を続けていきたいと思います。
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