ふっと思い出した
記憶の中の私は
悲しかった

何が悲しいのか
まったくわからなかったが

私は悲しかった

私は泣いていたのかもしれないし
私は笑っていたのかもしれない

ただただ悲しいという感情のみが
自分の心を捉えていた

あの頃の自分は
『世界』というものが
なんであるか
どの程度の大きさなのか
何で構築されていたか
理解してもいなければ
知る努力もしなかった

無気力に悲しんでいた

結局のところ
私は井戸の中の蛙だったのだ

この『世界』がすべてで
他の『世界』などないと

否定したかったのかもしれない

だからと言って
自分を肯定することも出来なかった


今、私は『世界』を知っている

だから、
何なのだろうか

どうしたって
分からないことがある

此処に在ることも
其処に無いことも

私が今、
何がしたいのかも



昔、彼女は笑ってた

それはホントウのことで
でもウソだったんだ

あの時、知ることもできたのに
知ろうとも、
しなかったんだ

手を伸ばして
心の壁に
そっと触れる

壁を破るのは
カンタンで
とても難しい

それでも、手を伸ばすよ

あの日、
答えられなかったこと

届けるために

君の手を離さぬように


届けるよ


それでもあなたは
生きろと言う


なぜですか?
なぜ生に意味があると言えますか?
なぜ死は無意味であると言えますか?

いったい私はあなたにどれほどの傷を与えればその手を離してくれますか?

どんなに切っても
手放さないのは
なぜですか?


私には理解できません


どうすれば
私はその手を振り払えるのでしょうか?

死しかもう手段が残されていない

私はこの世界に
価値を見いだせぬのです

生きる目的がこの手に
見当たらないのです


ああ、けれどなぜ


あなたは生きろと言うか


生に無意味を、
死に意味を持つ私に



このままずっと
道化を演じろというのか