私は信頼するなと従業員に伝えています。
人を信用しなさいと。
辞書的な意味ではなく、信じて頼るのかそれとも信じて用いるのかの違いに目を 向けてもらいたいからです。
信頼と信用という言葉について聞いてみたところ、多くの人が信頼という言葉の 響きのほうを好意的に受け取ります。
信頼のほうが人間味があるように聞こえるようです。
用いる。つまり使うという感覚に抵抗があるのではないでしょうか。
しかしながら頼るというのは非常に危険です。
人という字の話があるかと思います。
人という字は二人の人が支えあっているのを表していると言うのです。
お互いに信頼し合い、支えあってこそ人ではないかということだそうですが、例えば片方の人が不意に手を緩めたらどうなるでしょうか。
信じていた人は、まさか手を緩めるなんて思ってもいませんから恐らく、対処することができず、こけて怪我をしてしまいます。
お互いに悪気があるわけでもなく、こういうことは起こり得るのです。
どうして、そんなことになってしまうのか。
それは頼っているからです。
信じて寄りかかっているから、不意なことが起きると怪我をしてしまうのです。
加えて、頼られている人は気持ちが良いようです。
信じてくれている上に頼られているわけですから、自分の存在意義が確認できるのでしょう。
自尊心が満たされるのは良いことなのですが、こうなると人は慢心してしまいます。
結果として、双方あまり良くない状況に陥ってしまうことが多いようです。
ですから、人に対しては信用するのが良いのです。
信じて用いる。
しかも利用ではなく活用です。
相手を信じた上で、相手が活きる使い方をするのです。
そうすれば、相手が不意に手を緩めるようなことがあっても、それに対応することができます。
また、用いたのは自分ですから、たとえ失敗したとしても相手を責めずに済みます。
信頼するのが悪いわけではありません。
ですが、多くの場合、信頼する側もされる側にも隙があります。
親子や本当のパートナーであれば、それも致し方ないと受け入れることができるのだと思いますが、それほどの関係はなかなかに難しいのだと思います。
そういった観点から、私は人は信頼するよりも、信用したほうが良いと考えています。
次回は「何をがんばるのか」についてお話したいと思います。