トヨタの非常識な仕事のルール | 原マサヒコ オフィシャルブログ ~元トヨタの整備士ながら書籍の執筆や講演活動をしている作家の日々~

トヨタの非常識な仕事のルール

このたび文庫の新刊となる『トヨタの非常識な仕事のルール』が発売となりました。

 

 

 

 

 

 

「トヨタの常識は、世間の非常識だよ」と言われることがあります。
トヨタの現場では、他社からすると非常識とも思える仕事のルールがいくつも存在するからです。

ただそれは、有名な「カンバン方式」とか「ジャスト・イン・タイム」のような生産方式に限った話ではありません。

「目的はなにかを考えろ」、「問題をモグラ叩きするな」、「人間関係は口ではなく耳で作れ」など、生産性向上や問題解決、人材育成などの場面においても独特な考えかたが存在するのです。そしてこれは、時価総額において日本一でありつづけるトヨタという会社の“根幹を支えているルール”とも言えるでしょう。

こういった話をするとよく「トヨタさんだからできるんですよね」と言われますが、それは違います。「トヨタだから」ではありませんし「製造業だから」でもありません。多くの企業に当てはまるルールでもあり、“今の日本企業に必要なルールである”と言っても過言ではないでしょう。

なぜ今の日本企業に必要なのかを説明する前に、私の自己紹介をさせてください。私は、トヨタの現場で仕事をしてきました。具体的には「販社」と呼ばれるディーラーで、神奈川トヨタ自動車という会社です。製造と販売は厳密には分かれていますので、「お前にトヨタのことが分かるのか」と言われることも稀にありますが、いわゆる「トヨタイズム」はしっかりと現場に伝わっていました。

新人の頃からトヨタイズムを叩き込まれた私は成長を遂げていき、社内の「技能オリンピック」に挑戦しました。技能オリンピックというのはその名の通り整備技術を競う大会で、入社10年目前後のベテラン整備士がエントリーするのが慣例でした。しかし私は、非常識にも入社4年目で「出たい」と手を挙げたのですが、上司は「出たいなら出ろ。その代わり、出るからには優勝を狙えよ」と言ってくれました。そして、それまで学んだことを全力でぶつけたところ優勝することができたのです。

そんな「非常識中の非常識」のような私でしたが、トヨタの現場ではしっかりと結果を出すことができていました。トヨタの現場を卒業後、私は自分の興味も相まってIT業界へと転身したのですが、そこには多くの壁が待ち構えていたのです。

それが「常識」という壁です。仕事を推し進めようとしても「原くんさ、そんなのうちの会社じゃ通用しないよ」「もっと常識的に考えてよ」という言葉を何度も浴びせられ、思うように進まないのです。私は挫けることなく、トヨタで学んだ非常識なルールを貫いていきました。
「仕事で成果をあげるには、常識に縛られていてはいけない」
そう考えていった結果、会社を興すまでになり、お陰様で多くのお客様に囲まれています。

そして私は、この「トヨタで学んだ非常識なルール」を多くの企業に伝える活動もはじめました。この本もそんな思いで書いたのですが、仕事に関するノウハウ本は国内外を含めたくさん存在します。ただ、海外のノウハウを当てはめようとしても上手くいかないケースが散見されました。

しかし、GAFAをはじめとする海外の先進的企業も実は「トヨタの仕事のルール」をこぞって真似し、自分たちなりにアレンジしています。ですから、本書にまとめた「トヨタの非常識な仕事のルール」は、日本人であればすんなりと理解してもらえるはずだと思うのです。

現代のような変化の激しい時代には、ときに型破りな思考や発想が必要になってきます。
この本は経営者であれ、中間管理職の人であれ、入社3年目の一般社員であれ、仕事のなかで何かを変えたいという人には必ず役に立つはずです。

ぜひ本書を読んで、皆さんの中に「非常識なルール」をインプットしてみてください。