こんにちは。人財育成研修プリュクレールの由美子先生です。

 

今回は「カスタマーハラスメント(カスハラ)」と「クレーム」の違いについて、そして組織としてどのように対策を講じるべきかを考えてみたいと思います。

 

 

  CA時代のカスハラ体験

 

室乗務員として働いていたとき、機内での暴力・迷惑行為により、国内と海外の到着地空港に警察の待機を要請したことが2度あります。

 

責任者として対応に当たる中で、緊迫した状況に直面することもありましたが、それ以上に「お客様やクルーを守らなければならない」という強い使命感がありました。

 

とはいえ、自分の対応が正しいのかという不安も抱えながら、到着地では客室乗員部(クルーを統括する部署)に確認の電話をし、連携して対応したことを思い出します。

 

他にも長時間の過度のクレームによる拘束、怒鳴る等のカスハラに当たる行為にも対処してきました。

 

また、現在は研修のクライアント様からも、強いクレームや顧客からのセクハラを含め、カスハラ対応のご相談を受けることがあります。

 

このような経験から、組織として従業員をどう守り、支援するかの重要性を痛感しています。

皆さんの職場ではどのように対応されていますか?

この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

 

 

  正当なクレームとカスハラ:違いを明確に!

 

クレームは、商品やサービスに対する不満や改善点を冷静に伝える正当な意見であり、企業にとって貴重なフィードバックとなります。

 

カスタマーハラスメント(カスハラ)は、行き過ぎた要求や攻撃的な態度を指し、従業員の心身に大きな負担を与える深刻な人権侵害のリスクを伴う問題です。

具体的にカスハラには以下のような行為が含まれます。

 

これらは、厚生労働省のカスタマーハラスメント対策マニュアルにも記載されています。

 

●要求内容の妥当性に関わらず不相当とされる可能性が高い

  • 身体的な攻撃:暴行や傷害など

  • 精神的な攻撃:脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言など

  • 威圧的な言動

  • 土下座の要求

  • 継続的・執拗な言動

  • 拘束的な行動:不退去、居座り、監禁など

  • 差別的な言動

  • 性的な言動

  • 従業員個人への攻撃や要求

 

●要求内容の妥当性に照らして不相当とされる場合がある

  • 商品交換の要求

  • 金銭補償の要求

  • 謝罪の要求(土下座を除く)

 

これらの行為は、従業員の「働く権利」や「人としての尊厳」を踏みにじるものであり、単なる不満や要望を超えた人権侵害に該当します。

 

まとめると

 クレーム正当な不満や改善要望を冷静に伝えるもの。

 カスハラ攻撃的で過剰な要求を通じて相手を傷つける行為。

 

企業は、この違いを正確に理解し、対応方針を明確にすることが重要です。

 

 

 

  従業員と組織の未来を守る!カスハラ対策の3STEP

 

カスハラへの対策には、働く人が安心できる職場の環境づくと、顧客・利用者への組織への信頼向上の両方を実現する必要があります。ここでは、接遇マナーから初期対応、組織的なサポートまでの3つのステップをご紹介します。

 

STEP 1  接遇マナーの向上
 

カスハラが発生しやすい背景には、顧客への説明不足や従業員の教育が追いついていないケースもあります。このような課題を組織全体で見直すことが重要です。
クレームには大きく分けて以下の2つがあります。

 

  • 「物のサービス」に対するクレーム(商品や製品の不具合やサービス内容の品質への不満)

  • 「人のサービス」に対するクレーム(接遇態度や言葉遣い、応対スキルに関する不満)

 

特に後者に関しては、従業員に接遇マナー向上の教育をすることで、「失礼だ」「気が利かない」といったクレームの発生を減らすことができます。

 

具体的には、丁寧な言葉遣いや、顧客の気持ちに寄り添う対応を習慣化させることが重要です。

 

実際に、ちょっとした態度や話し方でお客様はぞんざいに扱われたと思い、カッとしたり、言葉不足による誤解等で、トラブルが発生したりします。

 

これらは教育で防ぐことができる可能性が高いものです。また、接遇力向上は、次にお伝えする二次クレームの防止にもなります。

 

 

STEP 2 クレーム発生時の初期対応を徹底
 

しかし、どれだけ接遇教育を行っても、残念ながらクレームが完全にゼロになることはありません。

 

クレームが発生した場合、初期対応が適切でないと、次クレームに発展するリスクがあります。


例えば、本来は製品に関する不満が原因だったクレームが、「対応が悪い」「恥をかかされた」という理由で問題が拡大し、さらにはカスハラに発展することもあります。


従業員が初期対応で適切に対処できるよう、以下のようなポイントを教育する必要があります。

 

 怖がらず、冷静に話を聞く

逃げ腰な態度を見せると、相手がより強い態度に出ることがあります。気持ちを落ち着かせ、相手の話を聞く姿勢を見せます。

 限定的謝罪を行う

「そうでしたか。それは大変ご不便をおかけしました」等と相手の感情を認める言葉を最初に伝えることで、相手は安心します。

 話を遮らない

相手が思い違いをしていると思っても、最後まで話を聴きましょう。

 感情的・攻撃的にならない

相手の勢いにつられて相手を非難したり、横柄な態度を取ったりすると、解決が困難になることも。客観的に自分を見て、あくまで丁寧な応対を心がけます。

 迅速な解決案を示す

問題点を的確につかみ、解決のための提案をします。こちらからの押しつけではなく、希望を訊き、できれば選択肢を示します。

 

これにより、顧客は「話をきちんと聞いてもらえた」と感じ、怒りを鎮めるきっかけとなります。

 

また、従業員が安心して対応できるよう、明確なマニュアルやフローを整備することも重要です。

 

 

STEP 3  カスハラから従業員を守る
 

無意識のうちに高圧的な態度を取る顧客や、そもそも悪意を持って接する顧客も存在します。こうした場合、従業員一人で対応するのではなく、組織全体で対処し、従業員を守る仕組みが必要です。


具体的には、

 

 対応基準の明確化

どのような行為がカスハラに該当するかを明確にし、従業員が対応に迷わないようにします。

 

 エスカレーション体制の構築

問題がエスカレートし、相手の言動で身に危険を感じるような状況が見えたら、個人では対応しません。組織的な対応が始まります。周囲の応援や上司に引き継ぐ仕組みを整えます。

例えば「暴言が3回以上繰り返された場合は、責任者が対応する」等といった基準を設けます。

メモなどの記録や、録音・録画・対応記録・時間の計測など検証可能な証拠を収集します。


 抑止のための取り組み

職場に「カスハラ防止」のポスターを掲示も抑止効果が期待できます。警察や弁護士と連携した体制を整備します。

最近は、従業員の名札を実名にせず、イニシャル表記する企業もあります。

 

 ●従業員の精神的なケア

カスハラを受けた従業員が安心して相談できる場を提供し、必要に応じて専門家のサポートを受けられる体制を作ります。

 

 ロールプレイングの重要性

さらに、これらの対策はロールプレイングを通じて訓練することが重要です。緊急時訓練のように、模擬的な練習を行うことで、従業員がいざという時に冷静に対応できるスキルを身につけることができます。

 

 

  教育は従業員を守る備え

 

クレームやカスハラ対応の際、上司が「あなたの態度や対応が悪かったのでは?」と従業員を責めると、従業員のメンタルヘルスが損なわれたり、離職につながったりする恐れがあります。

 

そのためにも、日頃から基本的な接遇マナーの向上と同時にクレーム対応、組織的なカスハラ対策を整えるための3STEPの教育や体制を整えることが必要です。

 

このことは、顧客満足度の向上と従業員の働きやすい環境の両立の実現にも結びつきます。

 

働く時間は人生の多くの時間でもあります。

サービスを受ける側、サービスを提供する側、どちらも気持ち良い時間が過ごせるよう組織で取り組みましょう。

 

プリュクレールでは、このブログで紹介した3STEPをさらに深掘りし、実際に体験しながら学べる研修で皆様をサポートします。お気軽にご相談ください

 

 

 

人財育成プリュクレールについて

 

代表  石井由美子
元国際線CA、人財育成研修講師・ビジネスコーディネーター

 

「人の成長が組織の未来をつくる」
「働く時間を幸せなものに」

 

プリュクレールは「輝きをプラスする」という思いを込めて、企業や組織の持続可能性をサポートします。

カスタマイズされた少人数の研修を得意とし、とくに中小企業を応援します。

  • 社員の成長と定着を促進したい組織

  • 顧客満足度を向上させたい企業

  • 独自性を生かした接遇文化の醸成を考えている企業

  • クレームやカスタマーハラスメントを防ぎたい組織

 

人財が定着し成長するには、自己肯定感や自己成長を感じられる職場であることが大切です。職場で過ごす人生の貴重な時間が幸せであり、「ここが自分の居場所だ」と感じられる環境づくりを、ぜひ一緒に考えましょう。

 

どうぞお気軽にご相談ください。
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