7/22 | ごみばこ

ごみばこ

えのないえにっき

空前のお散歩ブームが到来しているようですね。
かくいう私も幼い頃から大切にしているピカチウの縫いぐるみを気に入りの鞄に詰め外に出ました。私は高校生ですが、スマートホンを持っていません。きっとお母さんが私のためにと気を遣ってまだ持たせてくれないのでしょう。私とて、(お恥ずかしながら中学の頃は時折両親に八つ当たりをしたものですが)いつまでもわがままを垂れる子供ではありません。周りの友人は、私のこと、私の家庭のことを少しだけヘンなような風に考えていますが、わたしはそこまでそうであるようには思っていません。あくまで、こういう教育の仕方もあると私も理解しているからだと思います。
私はワクワクして外に出ました。携帯は持たせてもらえなかったけれど、ゲームは時折買ってくれました。昔から、私はポケモンが好きでした。今の高校生は、昔はピカチウがケチャップソースを好きだった頃をあまり知らないでしょう。私は昔のポケモンが好きでした。みなさんポリゴンの話ばかりします。でもそんなこと、私にとってはどうでもいいことなのでした。アニメもゲームも好きな私にとっては。
今度のポケモンは、私は遊ぶことは出来ませんでしたが、それでも嬉しいのでした。私の世界にポケモンがもうそこまできていて、そこにいるのです。素敵なことだとは思いませんか。たしかに正直に言うと、私だってピカチウを捕まえてみたいし、色んな人とポケモンを交換をしてみたいものではあるのですが、それはないものねだり、仕方のないことなのです。駄々を捏ねて、両親を困らせてはいけません。もう高校生なのですから。
ピカチウだけをつめた鞄を背負った私は、そのとき昔に帰っていました。あのピコピコとなる電子音の音が、最初の町の自分の家から出たときの音楽が、私の頭のなかで流れていました。ルビーサファイアからはじめたポケモンですが、やっぱり一番最初のものが私は好きなのでした。ワクワクした足取りで私は散歩を始めました。いえ、これは散歩ではなく、私にとっては冒険なのです。ピカチウと共に、私は家を出ました。
散歩の途中で、スマートホンをじろじろと見つめてゆっくりと歩く人たちを少しだけ見ました。私は、まだそのときはわかっていませんでした。いえ、わかってはいたのですが、まだ認めたくなかった部分があったのでしょう。しかし私のその意地も、やがて折れてしまいました。私だけが、ワクワクしていたのでしょうか、みなさんそれぞれワクワクはしていたでしょうが、しかし私は裏切られたような気持ちになりました。みなさん、ずっと下を向いているのです。何故、こんなにワクワクすることに対して、下ばかり向いてしまうのでしょう。見ていると、私も気持ちが下を向いてしまいそうになりました。みなさんには少しだけ申し訳ないことなのですか、私は少しだけ親の教育に対して、感謝をしました。恐らくその感情は正しくもあるのでしょう。ただ、私は途中で考えるのが辛くなってしまって、引き返してしまいました。無造作に鞄を放り投げて、座って考えましたが、あまりまとまりません。私は昔、ポケモンにワクワクさせられたものですが、いまはもう、そうではなくなってしまったのかもしれません。あるいは、ただただこれは本当は、親にスマートホンを持たせてくれないことに対する怒りの感情をぶつけているだけなのかもしれません。私にはわかりません。この感情が、とても辛いです。まだ、鞄の中のピカチウを見ることができない。ごめんなさい。