以前、
2つの顔などを見比べて
好きな方を選ぶときには
視線、特に視線の動きが関係する
というお話を書きました
拙ブログ『視線と選好課題(1)』
拙ブログ『視線と選好課題(2)』
何度も繰り返して見せられると
好感がもたれやすいという
単純接触効果を狙っているのが
「広告」ではあるのですが、
もちろん
単に繰り返せばよいというものでもなく
最初の見た目が悪いと
どんどんイメージが悪くなるようです
日々、いろいろな広告に触れながら
ショップに行きます
商品自体の魅力もさることながら
強い影響をもっているのが「値段」
値段が高いと
よい物だろう、美味しい物だろうと
思ってしまいますよね
そう感じたとき
脳はどう反応しているのか、
ということを調べた実験があります
Plassmann H, et al. (2008)
"Marketing actions can modulate neural representations of experienced pleasantness"
Proc Natl Acad Sci USA 105(3): 1050-1054.
実験での設定は
ワインの飲み比べです
ジュースでも構わないと思うのですが
それは実験者の勝手というもの
本人たちは事情を知っているので
被験者になれませんが
他の実験者たちと「お互い様」
だったりもします。。
そんなことは、置いといて
被験者は20名(男性11名、女性9名)
21ー30歳(平均24.5歳)
使用したのは、赤ワインの
カベルネ・ソーヴィニヨン
5ドル、35ドル、90ドルの
3本を用意します

そして、
被験者に見せる値段は
実際とは違うものも含むようにします
5ドル、45ドル(本当は5ドル)
10ドル、90ドル(本当は90ドル)
35ドル(本当に35ドル)
そして、
中立溶液(成分は唾液に近い)
1回に口にする量は
1ml(ミリリットル)
1ccと同じです
cc というのは
cubic centimeter
ということですから
一辺 1cm の立方体の体積ですね
1滴が 0.05ml くらいなので
大体20滴と思っていいでしょう
かえって分かりにくいか。。
チューブを通して口に含みます
10秒間味わいますが
そのとき、目の前の画面に
そのワインの値段が表示されます
(表示されない試行もあります)
10秒経ったら、画面に
「飲み込んで」と表示されるので
それに従います
中性溶液で口の中のワインを
すすいで飲み込んでもらいます
次のワインを口にするまでの時間は
平均10秒で少しランダムにしています
各ケースで16回のテースティング
1回おきに
香りの気持ちよさの評価を計4回
味の強さの評価を計4回
それぞれ、6段階で評価
左右3個ずつ、指に付いたボタンを
押して回答します
被験者には
「5種類のワインをテイスティング
してもらいます」
と言います
本当はワインは3種類なのですが
さて、
実験の結果はどうだったでしょうか?
値段を示さない試行、
それから、
値段を示した試行での味の強さ
での評価は
本当の値段を反映していたのですが、
値段を示した試行での
香りの気持ちよさの評価は
本当は同じ値段のワインでも
値段が高い方が高い評価となりました
このとき
強く活動していた脳領域は
内側眼窩前頭皮質(mOFC)でした
脳の前の底の辺りです
mOFC は、何かを体験するときに
気持ちよさに反応する領域
であることが知られています
同じワインで値段を変えただけですから
感覚的には同じはずですが
値段が高いという情報が
気持ちよさを演出し
感じ方まで変えてしまったと言えます
脳の感じ方、つまり、
ニューロマーケティング
という観点からも
値付けは安いほどよい、わけではない
ということなのですね
(おしまい)
文:生塩研一
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