ニューロマーケティングで

大事な項目として

「潜在意識」を考えたいと思います




私が敬愛する脳科学関連の研究者の

お一人が、下條信輔博士



下條博士





東大をご卒業後

東大助教授まで務められ、

1997年からは

カリフォルニア工科大学(Caltech)に

移られ現在に至っています



大変優れた研究者ですが

お人柄もよく大変温厚な方です



まあ、

うんと優れた研究者には

お人柄もよい方が多い感じもしますが



以前、偶然、駅でお見かけしたとき

話しかけると、

気さくに立ち話に応じていただけました



日本の研究環境を心配しておられ

私の研究環境のことも

気にかけていただきました



そんな下條博士のご研究で

私が特に興味をもっているのは

潜在意識の実験です



日本語のご著書も多数ありますので

是非、ご一読をおススメします



今回は、そのご著書の中で

『サブリミナル・インパクト』ちくま新書


の序章に紹介されている実験を

ご紹介しますね




2人の見知らぬ誰かの顔を見せられて

どちらが好きですか?

と問われたら、

その2人の顔を見比べて答えるでしょう



では、

まだ意思表示ができない赤ちゃんだと

どちらが好きか

どうやってわかると思いますか?



実は、

興味のある方を長く見る傾向が

あることが知られていますので

見た時間の長さで判断されます



ということは、

選んでいる間の視線の動きを調べると

答えを聞く前に、どちらが好きかを

第3者が知りうるかもしれない



下條博士らは

このことを実験で確かめました



Shimojo S, et al. (2003)
"Gaze bias both reflects and influences performance"
Nature Neuroscience 6: 1317-1322.




好きな方を選びますので

選好課題と言います



被験者に、2つの顔写真を並べて見せて

好きな方をボタン押しで選んでもらいます



トータルで長く見た方を選ぶと思いきや

そうではなかったのです



いろいろ解析した結果、

まず見付かったことは

こっち!と選ぶ直前(0.6秒前)から

好きな方を見ている時間が長かったこと



実際のデータ解析では

視線を1秒間に30コマでサンプルして

その瞬間瞬間で

どちらの顔に視線が向いているか

をカウントします



顔でない所に視線が向いているときは

カウントしません



そして、

ボタン押しのタイミングで

時間をそろえて

1秒間を30に分けた各コマで

それぞれの顔を見ている確率

を計算します



上で紹介した本の28ページで

グラフの縦軸の説明として

「選択する顔に対する注視の確率」

と書いてあるのは、そういう意味です



ただ、その本にある図は

論文では page 1318 の Figure 1a

と同じなのですが、

論文では左端が 1.6 なのに

本では 1.8 になっています



1秒30コマでサンプリングして

論文では、データ点が1秒間で30点

一方、本では、24点しかないので

論文の方が正しいのですが、

まあ、結果に大差はありません



本にするときに

少し間違ってしまったのでしょう



情報は原論文に当たるに限ります




そんな細かい話は置いときまして



実験結果から分かったのは

ボタン押しの 0.6 秒前から

その後選択する顔の方を

見る確率が高くなり

約80%の確率になった頃に

判断してボタン押しをしていたのです



見た時間のトータルではなくて

選ぶ直前だけ関係していたのですね





(つづく)





文:生塩研一





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