前回は、

不合理な人間の行動や心理から

経済活動を考えましょう、という

行動経済学が最近の流行っているのは

2002年にダニエル・カーネマンが

ノーベル経済賞を取ったのがきっかけ

ということなどを紹介しました



拙ブログ『行動経済学って、何?』





行動経済学やニューロマーケティング

の本でよく取り上げられる実験に

1974年、Sciece に掲載された

カーネマンの論文があります



Tversky A & Kahneman D (1974)
Judgment under Uncertainty: Heuristics and Biases
Science 185 (4157): 1124-1131





よく知らないことを判断するとき

どんなことが影響しているか

をいろいろな実験や事例から

検討した論文です



式も図も表もなくて

論文というよりも

論説文という感じですが



まず、

被験者の前にルーレットがあって

0 ~ 100 の数字がランダムに

決まるように見えるのですが、

あるときは必ず 10 で

またあるときは 65 に必ず止まるよう

仕掛けがしてあります



wheel_of_fortune




被験者には

特に意味を示すこともなく

止まった数字を書き留めるように

してもらいます



つまり、

被験者の半分は 10 を書き留め

残りの半分は 65 を書き留めたわけです



そして、

2つの質問をします


1)国連加盟国中、アフリカ諸国は
  
  先ほど書き留めた数字よりも

  多い? 少ない?


2)実際は何%だと思いますか?



答えがあまり知られていない質問

というのがミソ



被験者としては

ルーレットがたまたま止まった、

ランダムに選ばれた数字を

書き留めただけなので、

その直後に聞かれた質問には

全く影響しない、と思いますよね?



結果はどうだったでしょうか。。



な、な、なんと



10 と書き留めた被験者の中央値は

25% で、

65 と書き留めた方の中央値は

45% だったのです



しっかり影響されていますね



最初に書き留めた数字に引っ張られた

ということで、この現象を

アンカリング効果と言います



日本語では、係留効果



アンカー(anchor)というのは

船を留めるイカリですから、

最初に書き留めた数字がイカリとなり

推測に影響した、ということです




意味もない数字に無意識に

操られてしまうなんて



そうなのです



自分の理性こそが判断をしている

と思いがち、言い換えると、

脳を理性的なコンピュータだと

思い過ぎていないでしょうか



確かに、脳には

理性的なコンピュータの側面も

あるのですが、そればかりでは

不合理な実際の行動や判断などを

理解できません



脳って、結構、おバカでお茶目

だったりもします



脳をより正しく把握するには

脳と正しく付き合うには

どれだけ不合理な面もあるか

を理解しないといけません



先のカーネマンの論文には

他のアンカリング効果や

それ以外の事例も挙げられています





(つづく)





文:生塩研一





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