今回は
これまでご紹介してきた毒素と
次元の違う、最強毒素をご紹介します
それは、
ボツリヌス毒素
ボツリヌス菌という
土の中にいる細菌が作る毒素です
「ボツリヌス」という名前は
ラテン語の botulus (ソーセージ)
から来ているのをご存知でしたか?
ソーセージによる食中毒の
原因菌だったのですね

ボツリヌス毒素は
分子量が15万くらいのタンパク質
C6760H10447N1743O2010S32
でっか。。
ヒトの致死量は、体重1kg あたり
たったの、0.001mg
60kgの人なら、0.06mg
塩の一粒が 0.1mg と言われますから
半粒くらいが口に入っただけで
死に至るということです
では、
どのように作用するのでしょうか?
神経系のニューロンが
次のニューロンや筋線維に
情報(興奮)を伝える仕組みは
前回などにも書きましたので
詳しくは ↓ をご覧ください
『クモ毒 ~ 神経毒からニューロンの機能をみる(12)』
『脳の電気信号?その正体は。。。(3)』
簡単に言えば、
送り側のニューロンの端から
神経伝達物質が放出されて
それを、次のニューロンや筋線維が
受け取るのでしたね
ボツリヌス毒素は
ニューロンが筋線維に情報を送るとき
その神経伝達物質を
放出させないようにしてしまいます
詳しく見ますと、
神経伝達物質はニューロンの
軸索先端の内側にあるシナプス小胞
という袋の中に入れられていて、
正常な状態では
この袋がニューロンの軸索先端の
細胞膜と融合することで
ニューロン外に神経伝達物質が
放出されます
この膜融合は
そのシナプス小胞にあるタンパク質(Synaptobrevin)と
細胞膜にある2つのタンパク質(Syntaxin、SNAP-25)が
くっついて起こります
ボツリヌス毒素は
ニューロンの中に入り込んで、
あろうことか
これら3つのタンパク質を
切断してしまうので、
神経伝達物質が放出できなくなるのです
ボツリヌス菌、何をしてくれる。。
筋線維に興奮が伝わらないので
全ての筋肉が弛緩します
肺の下を覆う横隔膜は筋肉で
呼吸はその横隔膜や肋間筋の
お陰ですし、
心臓も筋肉の塊です
ということは、
筋肉が機能しなくと
手足が動かせないだけではなく、
呼吸や心拍も止まり、死にます
最近、
これまでに知られていた
ボツリヌス毒素よりもさらに強力な
新種のボツリヌス毒素が
ボツリヌス中毒にかかった乳児から
発見されてしまいました orz
この続きは、次回
(つづく)
文:生塩研一
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