恐ろしいクモと言えば
タランチュラ
が有名かもしれませんが
実際の毒性はあまり強くありません
身近で危険なクモを見てみましょうか
【セアカゴケグモ】
オーストラリア原産の外来種
国内では1995年に
大阪府高石市で初めて発見
現在では
南は沖縄、北は宮城県まで
生息が確認されています
メスが大きく、体長1cmくらい
オスは 3~5 mm
毒をもつのは、メスだけです
黒いボディーに赤い模様が特徴的な
おどろおどろしい姿は
全てメスです
セアカゴケグモの「ゴケ」は「後家」
つまり、未亡人のこと
英語でも
Red-back widow spider
といい、widow は後家です
これは、交尾後に
メスがオスを食べてしまうことに
由来するとか

(セアカゴケグモ・メス)
道路脇の側溝の中とか
コンクリートブロックの中とか
捨てられた空き缶の中とかに
不規則型の網を作って、
虫がひっかかるのを待ちます
複数の毒素を持ちますが
脊椎動物に有毒なのは
αーラトロトキシン
咬んだときに注入されます
では、どのように
毒性を発揮するのでしょうか?
ニューロンの情報伝達は
送電線のように伸びた軸索の先端から
神経伝達物質が放出されて
それが次のニューロンや筋線維に
届くことでなされます
神経伝達物質が放出される過程は
次のとおりでしたね
1)軸索を伝わってきた興奮
(Naイオンの流入)が
軸索の先端まで届く
2)そのプラス電位を感じた
カルシウムチャネルが開いて
Caイオンがニューロン内に流入
3)Caイオンが、神経伝達物質の
入ったシナプス小胞に作用して
神経伝達物質を放出
αーラトロトキシンは
軸索末端のカルシウムチャネルに
ニューロンの外から作用して
Caイオンを強制的に流入させます
すると、
神経伝達物質が全部放出されて
ニューロンや筋線維を異常興奮させ
けいれんなどを起こさせます
また、
Caイオンが大量にあるので
放出が優先され
神経伝達物質の再取り込みも進まず
神経伝達物質が枯渇した状態となり
神経系の情報伝達機能を麻痺させます
ただ、
ヒトを殺すほどの毒はありませんし
血清も存在しますので
適切に処置すれば大丈夫です
ちなみに、
αーラトロトキシンだけでは
昆虫や甲殻類には効かず、
虫には他の成分が効いて
動かなくさせます
【ハイイロゴケグモ】
このクモも
オーストラリアやアメリカを
原産とする外来種で、
国内ではセアカゴケグモと同じく
1995年に初めて
横浜市で発見されています
潜んでいる場所も
セアカゴケグモに似ていて
側溝などに網を作ります
メスが大きく、メスだけに
αーラトロトキシンがあります
ついでに、
クモ毒で世界最強と言われるのは
【シドニージョウゴグモ】
オーストラリア北部に生息
足を広げると10cmくらい
毒素は、ロブストキシン
アミノ酸がつながった神経毒です
Naチャネルを解放して
神経系を麻痺させます
この毒にも血清がありますので
適切に処置すれば大丈夫です
クモ毒は全般的に
危険性の高いものはありません
ただ、
スズメバチの毒液のような
アナフィラキシーショックに
気を付ける必要はあります
(つづく)
文:生塩研一
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