前回は、サソリの導入的なお話と
サソリ毒としてカリウムチャネルに
作用するものを挙げました
『サソリ毒(1) ~ 神経毒からニューロンの機能をみる(5)』
カリウムチャネルを
ブロックするわけですが、
どうなってしまうのでしょうか?
ニューロンの細胞膜上を
情報である興奮が伝わるのは
Naチャネルから Na+イオンが
ニューロン内に流入するからでしたね
そのとき、
陽イオンのNa+イオンが増えるので
マイナスだったニューロン内の電位が
プラスに向かいます(脱分極)
プラスに向かった電位を
Na チャネルがすぐに感じて
ニューロンの内側からフタをします
すると、それ以上の Na+イオンが
流入しなくなります
それと同時に、
Kチャネルがプラス電位を感じて
穴を開けてK+イオンが
ニューロンから出ます
この2つのプロセスにより
プラスになった電位は再びマイナスに
戻って次の興奮を待てるので
いつでも興奮を伝えられるわけです
このとき
K チャネルが開かないと
いつまで経ってもニューロン内が
マイナスに戻らず
興奮(情報)を伝えることができません
ご参考:拙ブログ『K と Ca の役割 ~神経毒からニューロンの機能をみる(2)』
そのため
Kチャネルがブロックされると
神経系が麻痺してしまいます
Kチャネル系のサソリ毒が
神経系にダメージを与えるのは
そのような理由からです
それから、
サソリ毒の特徴として
ペプチド毒素であること
が挙げられます
ペプチドとは
アミノ酸がつながった分子です
アミノ酸は
アミノ基(NH2)と
カルボキシル基(COOH)を持ちます
片方のアミノ酸のアミノ基の H と
もう片方のアミノ酸のカルボキシル基の
OHがくっついて
水(H2O)となって離れて(脱水)
2つのアミノ酸が重合します
このときにできる
C(炭素)と N(窒素)の結合を
ペプチド結合と言います
ですから、アミノ酸が
ペプチド結合でつながった分子を
ペプチドと呼びます

(ペプチド結合)
サソリ毒には
そのペプチド毒素が多いです
サソリ毒として
Kチャネルに作用する毒素を
紹介しましたが、他にも
Naチャネルに作用する毒素など
たくさんの種類があります
クジャクやイタチは
サソリの毒が効かないので
サソリを食べても大丈夫です
クジャクが、孔雀明王として
仏教の信仰対象になっているのは
サソリなどの毒虫や毒ベビを
食べる益鳥として尊ばれるからだとか
サソリは
4億年以上前から存在していて
節足動物としては世界最古にあたります
1年以上の絶食にも耐えられるとか
タフ過ぎ、、、
また、
サソリに暗い所で紫外線を当てると
どれも緑色に光ります
サソリの角皮(クチクラ)に
β-カルボリンという蛍光物質が
あるためです
紫外線を当てるライトを
ブラックライトとも言いますが、
夜、ブラックライトで
地面を照らしながら歩くと
サソリがいたら緑色に光りますので
サソリを踏まなくでも済みそうです
サソリがいそうな所に行かれる場合は
ブラックライトをお持ちください
(つづく)
文:生塩研一
お読みいただきまして、ありがとうございました。
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