昨日のブログでは

『逃げ水はどうして見えるのか? 光の全反射(1)』


光の全反射について

金魚の水槽 と 道路の逃げ水

を取り上げて書きました




今日はその続きを。



全反射は、自然にあるだけでなく

技術として応用もされています

その一例が、光ファイバー



光ファイバーは

インターネットの光通信 

医療機器では 内視鏡 

などに使われています



身近という意味では

電飾のイルミネーション

にも使われていますね



曲げても光が届くということで

いろいろ応用されているのですが

どうなっているのでしょうか?





初期の光ファイバーである

ステップ型の断面を見てみますと

内側にコア、外側にクラッド

という2層のガラスになっています



ここで、

コアよりもクラッドの方が

屈折率が小さく設計されているので

中心付近のコアから外側のクラッドに

向けて光が進むとき

クラッドへの進入角が小さいと

全反射を起こして

光がコア内に閉じ込められるのです



このステップ型は、

1958年、イギリスのカパニー

によって考案されました



「光ファイバー」の誕生です



$プラスサイエンス-tdk

TDKのサイトより




ただ、このタイプは

コア内の屈折率が同じで

光速も同じになるため、

全反射しながら斜めに進む光 と

中心付近を真っ直ぐ進む光

がファイバーの同じ長さを進む時間は

異なって、伝送波形が崩れやすい

デメリットがあります





その少しあと、

1964年、西澤潤一博士が開発した

自己収束型光ファイバーは

中心から外にいくほど

屈折率を徐々に小さくしてあります

(上図の下)



媒質中の光速は

屈折率に反比例するので

外側ほど速いです



なので、

遠回りの光 と 中心付近を直進する光

がファイバーの同じ長さを進む時間も

同じとなり

伝送波形が崩れにくなっています




西澤潤一博士といえば

半導体の研究で有名ですが、

実は、光通信の三大要素

発光素子・受光素子・伝送経路

の基本技術として

半導体レーザー
pinダイオード
光ファイバー

の基礎技術を一人で開発してしまった

というスゴいお方



ノーベル賞の呼び声も高いですが

まだ受賞されていません



早く授与していただきたいです




この、光の全反射を利用した

光ファイバーですが

ご家庭でも簡単に実験できます



透明なガラスコップに

水をたっぷり入れて、傾けて

指1本ぐらいの太さで

水を流して(こぼして)ください



ガラスコップは

大きめのものがいいです

ビーカーのようなイメージで




そして、流しているのと反対側の

コップの底から、流れ落ちる所を

見てみましょう



$プラスサイエンス-光ファイバー手



すると、水が落ちる先の様子が

見えるはずです



水が流れ落ちる下の辺りで

手を動かしてみてください



ガラスコップの底から

真横方向を見ているはずなのに

肌色の物がちらちら見えます



これは、曲がった水の流れに乗って

手からの光が届いているからなのです



流れる水が光ファイバーの役割を

果たしているのですね



是非、お試しください




(おしまい)



【追記 (2013/Aug/9)】

ここでご紹介したご家庭での実験は

準備は手軽なのですが

見方が難しいようですので

ちょっと手間はかかりますが

ペットボトルを使った改良版を

こちら↓でご紹介しています

『水で光ファイバー実験(改良版) 光の全反射(3)』




文:生塩研一



お読みいただきまして、ありがとうございました。
コメントもお待ちしています。お気軽にどうぞ~!


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