IQが平均以内にある
発達障害・グレーゾーンの人たち。
彼らの言語発達は独特なので、
指示を出すときには、
言葉のチョイスを工夫しなければなりません。
シリーズでお送りしている
言葉のトラブル解決の巻。
今日は中級編です。![]()
◆ 発達障害あるある!?意味不明の行動をとる子ども
シリーズでお送りしている
言葉のトラブル解決の巻。
今日は中級編です。
復習したい方(初級編)はこちらの記事をご覧ください。
「IQは高いのになぜ会話が通じない!?(初級編)ーー発達障害・グレーゾーンによくある言葉の間違いーー」
発達障害・グレーゾーンの子どもと
接している方は、多かれ少なかれ
「わざと怒らせるようなことをしてる?」
と思うような場面に出くわすはずです。
例えば、こんな場面。
放課後、学校の先生が
発達障害・グレーゾーンで算数が苦手なK君
のために、特別にマンツーマンで
算数を教えようとしています。
教室で待っていたK君のもとへ、
担任の先生がやってきました。
もともと整理整頓が苦手なK君。
今も机の上には、開いたままの筆箱、
ノート、本、理科の教材、得体の知れない
メモなどが散らばっています。
先生は優しく言いました。
「算数はじめるよ!
机の上をキレイにしてごらん」
するとK君は、机の上で両腕を伸ばして、
車のワイパーのように動かしました!![]()
当然、机の上にあったものは
全て床に落ち、今度は
机の周りが散らかってしまいます。
これ、発達障害あるあるです!
この場面、もしあなただったら、
どうしますか?
なぜ、K君はこんな行動を
とったのでしょうか?![]()
◆ 言葉の「字面」と「意味」を分けて考えてみる
初級編でもお話しした通り、
発達障害の子どもは(大人も)、
言葉の字面をそのまま理解し、
言葉で直接表現されていない意味には
気づきません。
このことを知らない先生だったら、
「K君は算数が嫌いだから、
机の上のものを全部落として
妨害しようとしているんだ!」
と思ってしまうかもしれません。
ありがちなのは、
「優しく言ったって、
言うことを聞かないじゃないか!
やっぱり強く言わないと、
この子は分からないんだ!」![]()
いつも整理整頓ができていない姿を
見ていますから、たまりかねて
責めてしまうかもしれませんね。
でも、責められた子どもはびっくりです。
だって先生は、
「机の上をキレイにしよう」
と言ったんですから。
「そんなの屁理屈だ!
」
と思われるでしょうね。
確かに、ほぼ屁理屈です。
発達障害の子どもや大人は、
年中「屁理屈」「理屈っぽい」と
言われています。
でも、悪気はありません。
先生はきっと、
「机の上の物を、きちんと片付けよう」
「机の上も、床の上も、
とにかく自分の周りをキレイにしよう」
ということを意図していたはずです。
でも、
残念ながら言葉では言ってないんです。![]()
決してK君は、
算数が嫌いで妨害したいから、
机の上の物を乱暴に床の上に
落としたのではありません。
その行動が、
指示を聞いていることだと思っています。
むしろ「さぁ、先生キレイになったよ!
」
くらいの気分です。
それなのに、
「算数が嫌いだからって、
どうしてそんなことするの!?」って
怒っても何も現実は変わりません。
K君は、
自分の言語理解のミスに気づきませんから、
次回もまた同じ失敗をするでしょう。![]()
発達障害の人たちは、
言葉の裏にある他者の意図を汲み取るのが
苦手です。
ですから、やって欲しいことは、
ストレートに言葉に出すことが肝心です。
◆ 発達障害・グレーゾーンの子どもに伝わる指示の出し方
では、この場合の正しい指示の出し方は
どうだったでしょうか?
初級では、
単語のチョイスさえ気をつければ、
1ステップで指示がうまくいく方法を
お伝えしました。
でも中級は、1ステップではなく、
複数のステップを踏みます。![]()
まず最初に言うのは、
目的と一番目の行動です。
「机の上をキレイにするから、
筆箱のフタを閉めよう!」
子どもが行動するのを待って、
「次は、ノートを閉じて机の中にしまって」
子どもが行動を終えるのを待って、
「本を、本棚に入れて」
というように、
1つ1つ行動を言語化して指示を出します。
なぜなら、
K君は普段から整理整頓が苦手で、
「片付けて」と言ったところで、
自分一人ではまだ片付けられないからです。
え〜、じゃあこんな
手のかかる指示を一生出し続けるワケ!?
と思われるかもしれませんが、
もちろん、そんなことはありません。![]()
机の上がキレイに片付いて、
目的を達成したときに
して欲しいことがあります。
その1 ゴールの状況をよく見せる
机の上が片付いて、
床の上も散らかってない。
「これが正解だよ」という状況を
よく見せて、理解させます。
その2 ゴールに至った行動を言語化させる
「すごく上手く片付いたね!
どうやって片付けたか、
思い出して言ってごらん!」と促します。
このステップが重要!
子ども自身が行動を整理できます。
その3 次から使う言葉を示す
仕上げとして、
「次から、“キレイにして”と言ったら、
今自分で言ったことをするんだよ」
と言葉と行動の対応をインプットさせます。
行動をさせた後、
その行動を言葉でネーミングする感じ、
と言えば分かりやすいでしょうか?
そして、記憶が薄れないうちに、
ごく簡単な状況で、
ネーミングした言葉「キレイにして」などと
指示を出して、
再び行動できるかを実験しましょう!![]()
例えば、K君の状況なら、
算数を教え終わったときに確かめると
いいですね。
このようにして、
・最初は手のかかる指示のステップを踏み、
・行動をさせ、
・その一連の行動を表す言葉を
インプットする。
これが中級です。
最初だけ少し手間がかかりますが、
言葉の意味を正しく捉える練習になります。
ぜひやってみてくださいね!
【関連記事はコチラ】
「IQは高いのになぜ会話が通じない!?(初級編)ーー発達障害・グレーゾーンによくある言葉の間違いーー」
「IQは高いのになぜ会話が通じない!?(上級編)ーー発達障害・グレーゾーン子どもの勘違いに対応しようーー」
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吉野加容子
発達科学コミュニケーショントレーナー
学術博士、臨床発達心理士


