アメリカの映画館での

コカ・コーラとポップコーンにまつわる実験は

あまりにも有名なのでご存知だと思います。

 

1957年

市場調査の専門家のジェイムズ・ヴィカリー氏は

ニュージャージー州フォトリーの映画館でひそかにある実験をし、

その効果が素晴らしかったことを発表しました。

 

アカデミー賞6部門の候補となった「ピクニック」という映画の映像に

観客が認識できない1/3000秒と言う短いカットで

 

「コーラを飲もう!」

「ポップコーンを食べよう!」

 

というメッセージを何度も差し込んで上映するといったものでした。

 

ほんの一瞬のできごとなので

映画を観ている観客は誰一人として

メッセージを見たことには気がつきません。

 

その結果、なんと、

 

コーラの売り上げは18%アップ

ポップコーンの売り上げは58%アップしたそうです。

 

これはご存知のように「サブリミナル効果」と呼ばれていて

 

相手に気がつかれないように潜在意識に刺激を与えて

行動をコントロールすることができます。

 

こうして「サブリミナル効果」はヴィカリー氏の実験によって

人々の間に広まっていきました。

 

ところが、この話、

 

実は、

 

真っ赤な嘘 びっくりガーン

 

5年後の1962年、ヴィカリー氏は

 

「『サブリミナル効果』は

業績不振で破綻しかけた自分の会社を立て直すためのでっち上げで

 

自分はあの実験は行わなかった!」

 

と認めたのでした。

 

え~っ、そんなのアリ??

 

そして「サブリミナル効果」は実証されないまま

すでに一人歩きをし始めていたのでした。

 

実証はされないものの、

「サブリミナル効果」の存在を示唆するような実験結果は挙げられています。

 

 

科学雑誌「サイエンス」の実験です。

 

被験者には、

モニターに「握れ」が表示されると、

握力計を握るように指示します。

 

その時、サブリミナルカットで

 

「がんばれ!」「ナイス」「すごい」

などのメッセージが表示されると

 

表示されない時と比べて

握力が約2倍に上がったそうです。

 

 

次は2006年のオランダでの実験です。

 

3時間、飲食を禁止された被験者を

2つのグループに分け

パソコンの課題をしてもらいます。

 

グループA

画面に「リプトンアイスティー」という文字を

視覚できないほどの短い時間で繰り返し表示する。

 

グループB

画面に「リプトンアイスティー」を表示しない。

 

結果は

 

グループA(「リプトンアイスティー」の表示あり)の方が

グループB(表示しない)より、

1.5倍以上の飲み物が減ったそうです。

 

 

私が「サブリミナル効果」について初めて知ったのは

海外ドラマ「刑事コロンボ」(21話「意識下の映像」)を観たときです。

 

当時は「サブリミナル効果」という名前は知らなかったのですが

かなり感動しました。

 

どのように「サブリミナル効果」が使われたかと言うと

 

意識調査の研究者のケプル氏は

クライアントのノリス氏にキャビアを提供した後

アイスティーのカットを入れた映像フィルムを観せます。

 

のどが渇いてきて飲み物を飲もうと出てきたノリス氏を

ケプル氏は殺害します。

 

そして殺人現場にコロンボが登場!

 

例の口調で捜査を進めていったのです。

 

ケプル氏の犯行動機もつかみ

上記の犯行方法も推測できたものの

 

犯行を立証する具体的な証拠は何もありません。

 

「証拠の品はケプル氏のオフィスにある」

とにらんだコロンボは

 

映像フィルムのの中に、

コロンボがケプル氏のオフィスの

机やら、棚などを調べているカットを差し込んだ映像を作り

ケプル氏に観るように仕向けます。

 

映像のフィルムを見ていたケプル氏は

しだいに落ち着かなくなって、

 

いたたまれずに自分のオフィスへと足を速めます。

 

自分のオフィスで、隠していた銃の部品(それはノリス氏殺害の決定的証拠)

を手に取り、

 

「まだ見つかっていなかった!」と

ホッと安堵した瞬間、

 

そっと後ろをつけてきたコロンボに証拠を押さえられてしまいました。

 

ケプル氏は「サブリミナル効果」を使って犯行に及び

「サブリミナル効果」を使って逮捕されてしまったのです。

 

とても興味深かったです。

と同時に、人間の心理が簡単に操られることへの怖さも感じました。

 

 

現在では、アメリカや日本など多くの国で

このような知覚できないメッセージや画像を

広告に使う「サブリミナル広告」は禁止されています。

 

 

視覚だけではなく、聴覚によるサブリミナル効果もあるようです。

 

音楽の中に

耳には聞こえないプラスのメッセージや

自然の音(波や小鳥のさえずりなど)を入れて

 

ストレス解消、禁煙、あがり症改善、ダイエット、

集中力向上、不安や疲労解消などの目的の音楽療法としてのCDが出されています。

 

実際には聞こえないので

どのようなメッセージや音が隠されているのか確認できないだけに

少し怖い気もします。

 

私も「すぐに眠れる」サブリミナル効果のあるCDを持っているのですが、 

 

その効果はわかりませんし、

どうして私がそのCDを持っているのかもわかりません。

 

なぜなら

 

私はそのようなCDがなくても、すぐに眠れちゃうからです。

 

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「睡眠力」は「幸福力」ではないか、と思っている

 

水木 しげる 漫画家

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音譜今日もお読みいただきありがとうございました。 明日もよろしくお願いいたします。音譜