1900年ごろ、ここはアメリカのフィラデルフィア

 

一人の少女がグレース・バプテスト教会の外に立って

泣きじゃくっていました。

 

通りかかったラッセル・コンウェル牧師は少女に声をかけて理由を聞きました。

 

「教会は人がいっぱいなので、

わたしは日曜学校に行けないんです」

 

貧しそうな洋服と手入れのできていない髪を見て

牧師は少女が教会に入れない本当の理由を察しました。

 

そして彼女の手を引いて、日曜学校に連れて行ったのです。

 

彼女の名前は6歳のハティ・メイ・ウァィアットちゃん

 

それから2年後、ハティは亡くなりました。

 

ハティの両親は、娘によくしてくれた牧師に

娘の最後の見送りを頼みました。

 

彼女の小さな体を動かしたとき

家族は枕の下から赤い小さなお財布を見つけました。

 

財布の中には57セント(約80円)と

このように書かれた紙切れが入っていたのです。

 

「これはもっと多くの子どもが日曜学校に行けるように、

もっと大きな教会を作る助けにしてください。」

 

2年間、ハティはこの祈りと共に

愛の献金を蓄えていたのでした。

 

コンウェル牧師はこの赤い財布と紙きれを手にして

講壇でハティの愛と献身の証を力強く語りました。

 

そしてハティの愛と献身の証が新聞に取り上げられたのです。

 

しばらくして、ある不動産業者が教会を訪ねてきて、こう言いました。

 

「教会設立にうってつけの広大な土地があるのですが

是非買って、新しい教会を作ってください。」

 

願ってもない物件ですが、

教会にはそんな広大な土地を買うお金なんてありません。

 

すると、不動産業者は続けて言いました。

 

「土地の値段は57セントです!」

 

多くの人たちの心が動かされました。

 

教会員たちも多くの献金を捧げ、

ハティの57セントは5年後には

当時としては巨額な25万ドル(約3500万円)にまで増えていったのです。

 

今では、子供の礼拝堂だけではなく、

 

3,300人を収容できるテンプル・バプテスト教会、

80,000人の若者が集うテンプル大学

何千人もの患者を診察するグッド・サマリタン病院

が建てられています。

 

そしてテンプル大学に行くと、

ハティ・メイ・ウァィアットの写真が飾られているそうです。

 

  

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偉大さとは、

わずかな財力で偉業を成すときに

真に達成される

 

ラッセル・コンウェル 

牧師 テンプル大学を創設 初代学長

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感動的なお話ですよね。

 

「自分に同じように日曜学校に入れない子どもが入れる

大きな教会ができますように」という

 

ハティちゃんの小さくても一途な祈りが

神様の心に響いたのだと思います。

 

お話を知る限りにおいて

ハティちゃんは裕福な家庭のお子さんではない、

というか、貧しい家庭で育っているようですが、

 

ハティちゃんの心はとても豊かです。

 

親切にしてくださったコンウェル牧師への感謝と

「大きな教会ができますようにように」との「祈り」が

 

短い紙切れにほとばしるように書かれています。

 

「祈り」には想像を上回る力が潜んでいますよね。

 

ここに「祈り」に関する実験があります。

 

元カリフォルニア大学の心臓学教授ランドルフ・ビルド氏が行った祈りの実験です

 

サンフランシスコ総合病院の心臓病集中治療室に入院中の患者393名を対象に

10か月にわたって行われました。

 

実験では被験者の患者を2つのグループに分けました。

 

グループA

患者自身は何も知らされずに「祈られている」

グループB

「祈られる」ことはされていない

 

そして全国の教会から応募した人々によって、

一人ひとりに祈りがささげられました。

(祈る人は患者の「名前」「病名」などが知らされています。)

 

ただし、「祈り」という行為を除いては

全ての患者は同じ治療を受けました。

 

その結果、次のような治療結果がわかったのです。

 

グループA(祈られたグループ)はグループB(何もしないグループ)より

 

☆    抗生物質が必要な患者が激減

☆    肺気腫になる患者が少なくなった

☆    人口呼吸器の使用率が激減

 

さらに、西海岸のこの病院に近い人たちからの祈りも、

遠く離れた東海岸からの祈りも、

距離に関係なく同様に効果がありました。

 

そして、同じような実験が、

ミズリー州の病院やデゥーク大学でも行われ、

「祈り」の効力が報告されています。

 

 

科学的な実証にまでは至っていませんので

賛否両論はあると思います。

 

これに関して筑波大学名誉教授の村上和雄氏は

 

「実際に効果があるのは、それは、

人知の及ばない力による作用なのではないか。

何より効力があるのだから、理由を解明できなくとも、

祈ることの大切さに変わりはないではないか。」

 

「祈りなんて気休め」と思っている方もいらっしゃると思います。

 

でも、神様や仏様を信じていなくても

人のために祈った経験は誰もがおありなのではないでしょうか。

 

祈りを捧げている姿って、私には天使のようにみえるんです。

 

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愛と優しさに満ちた祈りは

人を美しくさせます。

そしていつの間にか、

その人の人生を美しく照らします。

 

江原 啓之 作家

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祈りを唱える人ではなく

祈りの人になりなさい

 

マザー・テレサ 修道女

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音譜今日もお読みいただきありがとうございました。 明日もよろしくお願いいたします。音譜