東京にあるフランス料理のレストラン

 

コース料理には

4,500円のコースと6,000円のコースがありました。

 

レストラン側としては6,000円コースを中心に売りたいのですが

なかなか思うようになりません。

 

そこで考えたのがさらに高い10,000円のスペシャルコース

 

お手軽コース     4,500円

スタンダードコース  6,000円  

スペシャルコース   10,000円

 

「売れるかな?」と不安な中、

心機一転、この3つのコースで始めてみました。

 

するとどうでしょう。

 

6,000円コースが中心に売れ始めたのです。

 

不思議ですよね。

 

これは、3段階の選択肢があった場合、

人間は無意識のうちに真ん中の選択肢を選んでしまう傾向がある

という心理効果のことで

 

「ゴルディロックス効果」と呼ばれているそうです。

 

ゴルディロックスとはイギリスに伝わる民話

「3匹のクマ」(Goldilocks and the Three Bears)

に出てくる女の子の名前です。

(ロシアの文豪トルストイもこのお話を再話しています。)

 

ちなみにゴルディロックスとは

Gold「金」+lock「髪」で「金髪」という意味だそうです。

 

あなたもお話はご存知だと思います。

**********

 

森の中に3匹のクマが住んでいました。

 

1匹は小さく、もう1匹は中くらい、

あと1匹は大きなクマでした。

 

ある朝、3匹は散歩に出かけました。

 

その留守に、女の子(ゴルディロックス)がやってきて

クマの家に入っていきます。

 

テーブルにはお粥の入ったお椀が3つ

 

大きなお椀のお粥は「熱すぎる」

中くらいのお椀のお粥は「冷たすぎる」

小さいお椀のお粥は「ちょうどいい」

 

ですから「ちょうどいい」お粥を全部食べました。

 

ゴルディロックスは疲れたので椅子に座ろうとしました。

 

大きな椅子は「固すぎる」

中くらいの椅子は「クッションが柔らかすぎる」

小さい椅子は「ちょうどいい」ので座ったら

 

椅子は壊れてしまいました。

 

寝室に行ってみるとベッドが3つありました。

 

大きいベッドは「頭が大きすぎる」

中くらいのベッドは「足が高すぎる」

小さなベッドは「ちょうどいい」ので

 

そこで眠ってしまいました。

 

戻ってきたクマたちはびっくり!

小さなベッドに女の子が寝ているのを発見したのです。

 

女の子は目をさまし

慌てて家から逃げていきました。

**********

 

どうですか。

お話を思い出されましたか。

 

どれも3つあるうちの真ん中を選んでいますよね。。

 

 

この「ゴルディロックス効果」ですが、

日本では「松竹梅の法則」とよばれています。

 

上から「松」「竹」「梅」のランクがある松花堂弁当では

どのランクのお弁当が一番よく売れるでしょう?

 

そうです。

 

真ん中の「竹」なんですね。

 

もちろん、対象になっている物や値段設定によっても違いますが

その比率は「2:5:3」ともいわれています。

 

名古屋文理大学のフードビジネス学科の

81人の学生さんに対して行われたアンケートでは

 

「カフェで次のランチメニューのどれを選びますか?」に対して

 

Aランチ 1,100円

Bランチ  900円

Cランチ   700円

 

63%の学生さんが、やはりBを選んだそうです。

 

 学生さんなので、一番安いのを選ぶかなって思っていたので

ちょっと意外でした。

 

では2択や4択はなぜダメなのでしょう?

 

2択の場合

最初のフランス料理店のように

安い方の選択肢に流れて行ってしまうそうです。

 

また4択以上の場合は

私たちは選びきれなくなってしまうそうなんです。

 

 

私たちは何かを決定する時に

比較するという心理的な傾向があるそうで、

 

その中で、真ん中のものが適切にみえるのだそうです。

 

また、損をしたくない気持ちが強いため

極端な選択肢は避けて

無難な真ん中を選ぶ可能性が高まるのだそうです。

 

とても納得です。

 

真ん中だと、

質的にもまぁまぁ、お値段的にもまぁまぁ、

妥当かなって感じますよね。

そして価格設定のさらなるポイントは

 

A お手軽コース     4,500円

B スタンダードコース  6,000円  

C スペシャルコース   10,000円

 

AとBの間にあまり差をつけない

つまり、「あと、ちょっと出せば

AからBへ、ワンランク上に行ける」

 

この感覚をうまく利用することだそうです。

 

 

また、もともと「松」「竹」「梅」それぞれには

上も下もなかったのですが

 

江戸時代、あるお寿司屋さんで

「特上」「上」「並み」のメニューをもうけていたところ

 

一番安い「並み」を選ぶお客様が

遠慮して注文しにくそうにしていたので

 

注文しやすいように

特上⇒松、上⇒竹、並み⇒梅と名付けたのだそうです。

 

江戸時代の町人の

粋で豊かなはからいだと思いませんか?

 

**********

中庸は徳のいたれるものなり

 

孔子 中国の思想家

**********

 

音譜今日もお読みいただきありがとうございました。 明日もよろしくお願いいたします。音譜