以前、「ここがヘンだよ日本人」というテレビ番組がありました。

 

たくさんの外国人の方が「日本のヘンなところ」を言い合う

討論バラエティでした。

 

「なるほど~」と思わされることも多く、

また、それぞれの国の事情もわかり、とても興味深い番組だったのです。

 

外国人の方の中には

流暢に日本語を操る方もいれば、

片言の日本語で大きな身振り手振りを交えて必死に伝えようとする方もいて

 

それがまたなんとも言えずおかしくて、笑いを誘いました。

 

その「日本のヘンなところ」の一つに

「日本人は車が来てなくても赤信号では道を渡らない」

というのがありました。

 

私は、大きな道路では信号を守りますが、

 

小さな道路では、

ほとんどの方が立ち止まっていらっしゃるので気が引けるのですが・・・

 

「右見て、左見て」で渡っちゃいます。

 

それでも、お子さんがいらっしゃるときは

「あんなことしちゃダメ!」って反面教師にならないために

心して信号を守ります。

 

あなたはどうですか。

 

アメリカのシラクーゼ大学のブライアン・ミューレン氏は

のべ2万3860名の歩行者についての

信号無視を調べたそうです。

 

しっかり守っている人が隣にいる時には

16.5%しか信号無視をしないことがわかりました。

 

ところが知らない人が先に道路を渡り始めると

44.1%信号無視をするのだそうです。

 

他の人がやっていると、いきなり2倍!!!

(内藤誼人さん著「心理学BEST100」を参照しました。)

 

他の人がわたっているのを見て

「信号は守らなきゃ」と「早く渡りたいな~」の心の葛藤が

簡単に薄らいで行ってしまうんですね

 

周りの影響って大きいですよ。

 

 

1980年代、北野武さんとビートきよしさんのお笑いコンビ「ツービート」のブラックギャグに

 

「赤信号 みんなで渡れば 怖くない」

 

というのがありました。

 

のちにギャグを超えて「ことわざ」と認識されるようになり

三省堂国語辞典の第8版(2021)に収録されています。

 

この言葉は群衆心理をよく表しているように思います。

 

集団になると、人は一人のときとは違って

別人のような振る舞いをすることがあります。

 

「良い・悪い」を判断することが、

「群れ」になびいて消されてしまうのです。

 

 

私が「群集心理」と聞いて思い浮かぶのは

東京の渋谷のハロウィン・ナイトです。おばけ

 

私も英会話スクールを経営していた時は

 

10月31日は生徒も講師も仮装をして

“Happy Halloween!”と言いながら近くの商店街を練り歩き

 

あらかじめお菓子を渡してもらうようにお願いしているお店に寄り、

“Trick or Treat”と言って、お菓子をいただいて回りました。ハロウィン

 

まだ、Halloweenがそれほど広まっていなかったのですが、

私も魔女や天使や悪魔の仮装をして歩いていました。

 

これも群集心理の一つですよね。

一人じゃ、いくら私でも、恥ずかしくてできない!!!

 

でも、外国人の講師たちは、

蜘蛛やコウモリのフェイスペインティングをしたまま、

仮装衣装のまま、電車に乗って帰っていたので驚きです。びっくりびっくり

 

 

そんな、昔の微笑ましいHalloweenでしたが

渋谷のHalloweenはひどい!!!

 

軽トラックを横転させ、酔って暴れ

暴動化する騒ぎも・・・

 

渋谷のHalloweenには主催者はいません。

 

それでも、Halloweenという共通する目的を持って集まった多くの群衆

 

たとえ一人で来たとしてもHalloweenという共通点があるので

そこで生まれる「一体感」

 

スポーツ観戦をしているときのような「一体感」が

流れているのでしょう。

 

ただ集まっているだけなので、役割分担もないし、

「一体感」はあっても、周りは知らない人ばかり

一緒に来た友だち以外は誰も自分のことを知らない

 

そこで生まれるのが、それぞれの「無責任」

 

「一体感」と「無責任」がマリアージュしたら

 

罪悪感なんてなくなり、さらにアルコールが入れば

もうとんでもないことに・・・

 

「何したっていいんだ~」という錯覚!!!

 

「ここはコスプレ会場ではありません!!」

のDJポリスの声もなんのその

 

もうモラルのかけらもなくなってしまいます。

 

忠犬ハチ公もびっくり!!!

 

礼儀正しく誠実な国民だと言われている日本人がなぜ??

 

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大衆は真実を求めているのではない

彼らに必要なのは幻想なのだ

 

ギュスターヴル・ボン フランスの心理学者

「群集心理」の著者

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Halloweenの翌日の朝、

「リアルライフヒーロー」として、

渋谷の街のゴミ拾いをしている人たちをテレビで見ました。

 

「立つ鳥あとをにごさず」

 

祭りの後、何もなかったかのように静かな日常が戻ってきます。

 

渋谷でHalloween nightを過ごした人たちは

どんな朝を迎えるのでしょうか。

 

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人は個人でいるときと

集団でいるときとで

全く別人としてふるまう

 

ギュスターヴル・ボン フランスの心理学者

「群集心理」の著者

音譜今日もお読みいただきありがとうございました。明日もよろしくお願いいたします。音譜