昨日は「天国からの手紙」について書きましたが
今日は「短い手紙」について書きます。
世界一短い手紙
もうご存知ですよね。
?
そして返ってきた返事が
!
この世界一短い手紙を出したのは
フランスの作家ヴィクトル・ユーゴー
1862年に「レ・ミゼラブル」を出版しました。
「レ・ミゼラブル」は日本の小学校の教科書や児童書では
「ああ無情」として紹介されています。
ヴィクトル・ユーゴーは執筆後の疲れを癒すために
しばしの間海外を旅していました。
文豪ヴィクトル・ユーゴーといえども
本の売れ行きは気になります。
そこで便箋の真ん中に
「?」
と書いて出版社に宛てて送ったのでした。
さすが出版社
この世界一短い手紙の中から
「本の売れ行きはどんなもんだい?」
というヴィクトル・ユーゴーの思いを読み取り
そこで返したのが
「!」
「順調ですよ~!」
なんて粋なやり取りなのでしょうね!
そして日本にも
海外メディアで取り上げられた
「短くて美しい手紙」があるんですよ。
正確には「手紙」ではなく「電報」なのですが・・・
1956年11月8日、
日本初の南極観測隊員53人を乗せた観測船「宗谷」が
東京の晴海ふ頭を出発しました。
当時未開の地だった南極へ向かうことは
日本に帰ってこられる保証がないほど
過酷な任務だったのです。
そんな隊員たちが家族と連絡が取れるのが電報だけ
でも、モールス信号でメッセージを送るため
文字数が限られていて
長い文章を伝えることができませんでした。
そんな南極にいる一人の観測隊員のところに
一通の電報が届きました。
電報を受け取った隊員は40歳
他の多くの隊員と同じように
30代の妻と生まれたばかりの子どもを日本に残して南極に来ていました。
隊員が受け取った電報は
隊員の妻からでした。
その電報に書かれていたのは
たったの3文字
それは
「ア ナ タ」
妻の想いに感動した夫の目からは
ぼろぼろと大粒の涙
そして、その電報を見せられた同僚たちも心を打たれ
同じように感動の涙を流していたのです。
この短い3文字の言葉「アナタ」の裏に
どのような思いがあったのでしょうか。
(電報なのでカタカナで書きました)
「あなた、元気ですか?風邪などひいていませんか?」
「あなた、ちゃんと食事はしてますか?」
「あなた、会えなくて寂しいです。」
「あなた、子どもも私も元気ですよ!」
「あなた、帰ってきたら何が食べたいですか?」
「あなた、がんばってくださいね。」
「あなた、寂しいけど、私も頑張ります。」
「あなた、愛してます」
「あなた、あなた、あなた・・・」
溢れる想いを、
どこからどう伝えていいのかわからず
その想いをすべて詰め込むかのように
最後に妻が選んだ言葉が
「アナタ」
そして夫は
たった3文字の言葉から
妻のほとばしる愛情と自分を心配する気持ちを感じ取ったのです。
海外のあるテレビ番組で
この[短い手紙」のエピソードが紹介されました。
初め、テレビ番組に出ていたコメンテーターの人たちは
夫がどうしてそんなに感動しているのか全くわかりませんでした。
なぜなら、「あなた」は単に”you”という単語でしかなかったからです。
お互いを名前で呼び合う英語圏の人たちにはわかりづらいですよね。
日本では夫のことを「あなた」と呼ぶことがあることや
日本語の繊細さの解説を受けたコメンテーターの人たちは
[短い手紙」のエピソードを深く理解し
日本語の感性や奥深さに感銘を受けたそうです。
「たった3字の日本語なのに、どうして涙が止まらないんだ!!」
コメンテーターの一人がそう言いました。
ちなみに夫のことを「あなた」と呼び始めたのは
江戸時代のことだそうです
日本語は曖昧な表現が多いとは思いますが
その中に深い思いやりと気遣いを感じます。
季節の移ろいや自然との共存愛が込められた感性豊かな日本語
そんな美しい言葉は美しい心を作ります。
大切にしたいです。
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人は美しい言葉を使うことができる。
それは、できるだけ美しい響きを持った言葉を使うと同時に
適切な言葉を正確に使うことも
意味しているのです。
渡辺和子 修道女
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今日もお読みいただきありがとうございました。 明日もよろしくお願いいたします。