2007年に公開されたアメリカ映画

 “P.S. I love you!”

 

映画の中で

 

ジェリーとホリーは

喧嘩しながらも幸せな生活を送っていました。

 

ところが、ジェリーは脳腫瘍のため

35歳という若さで天国に行ってしまったのです。

 

留守電に残っている生前のジェリーの声を何度も何度も聞きながら

抜け殻のようになって、家に引きこもるホリー

 

ところが、ホリーの30歳の誕生日に

亡くなったジェリーからプレゼントが届いたのです。

 

それからというもの、毎月ジェリーから手紙が届き

 

「お洒落な服を買ったら?」とか

「君にしか作れないものを探してみなさい。」など

 

そこにはホリーが立ち直るためにするべきことが

書かれてあったのです。

そして、手紙の最後にはP.S. I love you!

 

ジェリーのメッセージに従っていくうちに

ホリーは次第に元気を取り戻し

 

そして、新たな人生に向かって歩き始めるのです。

 

ざっとこんな内容ですが

 

ネタバレをすれば

 

自分の死期が近いことを知ったジェリーが

すべての手紙をホリーの母親に託していたのでした。

 

亡くなった人から手紙が来るなんて・・・

ちょっと現実離れした、不思議な映画でした。

 

ところが、

 

事実は小説よりも奇なり

 

実際に亡くなった人から手紙が届いたお話です。

 

読売新聞で「天国からの手紙」というタイトルで連載されたので

ご存知の方も多いかと思います。

 

 

梨菜さんが5歳の時、

お母さんの順子さんは癌で天国へ行ってしまいました。

 

「お母さん、起きて、起きて!」と懸命に体をさすりましたが

目を覚ますことはありませんでした。

 

両親は離婚していたため、頼れる人は一人もいません。

 

梨菜さんが6歳の誕生日に

未成年後見人の弁護士さんが梨菜さんを訪ねてきました。

 

手にしていたのは梨菜さん宛てのお誕生日カードと花束。

 

お誕生日カードの差出人は

 

なんと

 

母の順子さんでした。

 

「おたんじょうびおめでとう!

おかあさんは、りなのこといつまでもあいしているからね。

おそらからみまもっているからね。」

 

その夜は寝付けず、何度も順子さんの言葉を読み返し、

泣いたそうです。

 

実は、順子さんは

梨菜さんが20歳になるまでの15通の手紙を弁護士さんに託し

毎年誕生日に届けるようにお願いしていたのです。

 

「余命3ヶ月」と宣告された順子さんは

ただただ梨菜さんのことが心配でした。

 

その時順子さんは

梨菜さんが、預けられていた児童養護施設で

よく口ずさんでいる歌があることを知りました。

 

それはアンジェラ・アキさんが歌う

「手紙~拝啓 十五の君へ~」

 

そして、順子さんは梨菜さんが20歳になるまで

15通の手紙を書くことを思いたったのでした。

 

癌が進行して、痛みで椅子に座ることもできなくなっても

 

ベッドにうずくまり

 

梨菜さんを思い涙を流しながら

震える手で、母の思いを綴ったのです。

 

最後の20歳の手紙は何日もかかり、

書き上げたのは亡くなる数日前だったそうです。

 

梨菜さんが成長するにつれて

手紙は長くなり、漢字も増えていきます。

 

「りながすこしずつ大きくすてきな女の子になっていくのが

うれしい」(8歳)」

 

「世界中で一番愛する梨菜

無事に10歳をむかえてくれてありがとう

いつも天国から見ていますからね」(10歳)

 

「もう立派な女の子です。

お母さんは天国で見守ってるけど

りなもきちんと自分を守ることをおぼえてね」(11歳)

 

「お母さんが天国に行ってから10年経ちました。

これからは特に大切な時期です。

選ばなければいけない道がたくさんあるけど

どの道を行っても、

いいことと悪いことはあるから、

一度しかない人生を大切に生きてください。」(15歳 高校受験)

 

「憧れる男の子の1人ぐらいは

できてしまったかなぁ」(16歳)

 

18歳になった梨菜さんは

児童福祉司になるため大学に進学して、一人暮らしを始めました。

 

大学に進学する費用も

ちゃんと順子さんが残してくれていました。

 

「天使みたいに可愛かった梨菜も

もう18歳なんてね」(18歳)

 

そしていよいよ20歳

最後の手紙を弁護士さんが届けてくれました。

 

梨菜さんはゆっくりと封を開けます。

 

「20歳の誕生日おめでとう」

「梨菜はしっかりしているとお母さんは思っています。

本当に信じてる」

「梨菜 心から愛してます。

何度の失敗でも当たってくだけろ!!の気持ちで

次は大丈夫、次は大丈夫と思って頑張ってね」

 

梨菜さんはこう感じました。

「大人になった私を信頼して、背中を押してくれている気がする」

 

梨菜さんはコンプレックスから、

自分の生い立ちを周りに隠していました。

 

梨菜さんのエピソードが読売新聞に連載されると

 

「記事読んだよ。知らなかった。

いつも笑顔の梨菜がすごい」

 

旧友たちが声をかけ、抱きしめてくれました。

 

そんな言葉を、今の梨菜さんは

素直に受け入れられるようになったそうです。

 

**********

あなたは苦しんだ分だけ

愛の深い人に育っているのですよ。

 

瀬戸内寂聴 作家

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手紙を読む時は、いつも順子さんの声が聞こえてきました。

 

梨菜さんは言います。

「お母さん、私ずっと幸せだったよ。

ホームのおじちゃん、おばちゃん、友だち

弁護士さん、学校の先生。

私にはいつも道しるべになってくれる人がいた。

今度は私が支える側になるよ。」

 

梨菜さんが愛ある人だから

梨菜さんの周りに愛ある人が集まってきたのでしょう。

 

お母様は最高のプレゼントをくださいましたね。

 

**********

 

自分という小さな存在が、

誰かたった一人の人でもいい、

その人の心に温かな火を灯すようなものになれたら

それはとっても幸せなことなのですよ。

 

瀬戸内寂聴

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梨菜さん、今度は梨菜さんが火を灯す番ですね。

お母様がいつも見守ってくれています。

梨菜さんなら大丈夫!

今まで以上にご自身を大切にしてください。

心から応援しています。

(読売新聞オンラインを参照しました。)

音譜今日もお読みいただきありがとうございました。 明日もよろしくお願いいたします。音譜