「お・も・て・な・し」

 

2013年9月7日、

アルゼンチンのブエノスアイレスで行われた

第125次オリンピック委員会(IOC)総会での

滝川クリステルさんのプレゼンテーションです。

 

そして、東京は

スペインのマドリッド、トルコのイスタンブールをおさえて

 

2020年の夏季オリンピックの開催地に決定しました。

 

「おもてなし」

それは、日本が世界に誇れる心の文化ですよね。

 

 

「おもてなし」の由来は2つあるようです。

 

一つは

「もてなし」に丁寧語の「お」がついて「おもてなし」

そして「もてなし」とは「ものを持って成し遂げる」を意味するのだそうです。

 

この「もの」とは「形のあるモノ」と心のように「形のないモノ」

この両方が含まれています。

 

様々な形で相手に喜んでもらうことが「もてなし」なのです。

 

二つ目は

「表なし」が由来という説です。

 

「表なし」とは「裏もない」こと

つまり「裏表ない心」=「見返りを求めない心」で接するということに繋がるそうです。

 

 

「おもてなし」を英語にすると一番近いのは「ホスピタリティ」でしょう。

 

でも何か違う!

 

「おもてなし」という言葉には精神面での奥深さが感じられ

そして相手を思いやる気持ちが謙虚に静かに表されているように思います。

 

 

この「おもてなし」を広め、そして深めたのはやはり茶道でしょうね。

 

千の利休は

「利休七則」と呼ばれる教えを説いたと言われています。

 

その「利休七則」を要約すると

 

「相手の状況や気持ちを思いながら湯を沸かし

掛け軸をかけ、花を生ける。

 

常に心にゆとりを持ち

相手のために万全を尽くしなさい。」

 

「おもてなし」の精神そのものですよね。

 

また、利休は

「茶室での身分は対等の立場」と説いていて

 

身分にかかわらずどんな人にも心を込めてもてなすという

 

当時としては画期的な「おもてなし」精神を作り上げたと言えるのではないでしょうか。

 

 

「三献の茶」というお話があります。

 

長浜城主の羽柴秀吉は、鷹狩りの途中に観音寺へ立ち寄りました。

 

汗をかいた秀吉を見たお寺の小姓の佐吉少年は

大きな茶碗にぬるいお茶をなみなみとついで差し出しました。

 

秀吉は一気に飲み干し、もう一杯頼むと

佐吉少年は、先ほどより少し熱いお茶を

茶碗に半分ほどついで差し出しました。

 

秀吉がさらにもう一杯頼むと

今度は小さな茶碗に熱いお茶を入れて差し出したということです。

 

秀吉はお茶の入れ方一つにも心がこもった佐吉少年を気に入り

召し抱えました。

 

この少年こそ、後の石田三成なのです。

 

「今どんなお茶が喜んでもらえるか」と相手を思いやる気持ちは

「おもてなし」の神髄ですよね。

 

 

では海外の方々は

この日本の「おもてなし文化」をどんな時に感じているのでしょう?

 

☆    飲食店では店員がしゃがんで注文をきく

☆    冷たい水や温かいおしぼりが無料で提供される

☆    雨の日の買い物では買い物袋の上からビニール袋をかけてくれる

☆    トイレがきれいで、洗浄トイレや温かい便座がある

☆    本屋さんで本にカバーをつけてくれる

☆    旅館で丁寧にたたまれている浴衣

等々

 

当たり前と思っていたことも

よく考えてみると素晴らしい「おもてなし」ですよね。

 

感謝です。ラブラブ

 

私のスイス人の知り合いの親戚の方が日本にいらした時に

 

日本の「おもてなし」で気に入ったことの一つ

 

それは開店時のデパートなのだそうです。

 

開店のチャイムとともにドアが開き

店員の方々が「いらっしゃいませ」と言いながら

深々と頭を下げると

 

まるで王様、女王様気分

 

物珍しさもあって

毎日のように開店時のデパートを訪れていたそうです。

 

 

「おもてなし」と言えば

ディズニーランドを思い浮かべる方も多いと思います。

 

創設者のウォルト・ディズニーはこのように言っています。

 

「私たちは王様や女王様をもてなすことが好きだ。

ここではすべての人がVIPなんだ」

 

ディズニーランドの「お子様ランチ」のエピソードをご存知でしょうか。

 

これはディズニーランド内のレストラン

「イーストサイド・カフェ」での実話です。

 

ディズニーランド内のレストランでお子様ランチを注文できるのは9歳以下

 

これはマニュアルで決まっています。

 

ところが若いカップルが入ってきてお子様ランチを注文したのです。

 

キャストの青年が

「どなたが召し上がるのですか?」

と聞いたところ

 

女性が

「亡くなった子どものために・・・」

 

そしてさらに言葉を続けます

 

「やっと授かった娘は一歳の誕生日を待たずに

天国に召されました。

子どもの誕生日に、いつか娘と一緒に来ようと話していたディズニーランドに来ました。」

 

キャストの青年は

「では、どうぞ召し上がってください。」

と、注文に応じたのです。

 

さらに

「ご家族の皆様、どうぞこちらへ!」と

2人席から4人の家族席へ移動させてくれて、

 

「お子様はこちらへどうぞ!」と

子ども用の椅子まで用意してくれたのです。

 

カップルの前に運ばれてきたのは

カップルが注文した食事と

「お誕生日おめでとう」のプレート付きのお子様ランチ

 

「ご家族でゆっくりお楽しみください。」

そう言って、キャストの青年は立ち去りました。

 

その後、そのカップルからディズニーランドに手紙が届きました。

 

「食事を食べながら涙が止まりませんでした。

まるで娘が生きているようでした。

 

こんな娘との家族団らんをディズニーランドで

させていただくとは夢にも思いませんでした。

 

これから2人で、涙を拭いて生きていきます。」

 

最後の言葉、力強いです。

ここまで人の心に響かせたのですね。

 

 

キャストの青年がしたことは、確かにマニュアル違反です。

 

なぜなら「公平さ」を保つのも「おもてなし」の一つだからです。

 

でも「おもてなし」に正解なんてありません。

 

相手の心に届くものがあれば、

それが「おもてなし」なのでしょう。

 

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他人に対する思いやりと共感は

私たちが差し出せる最大の贈り物なのだ

 

タルサン・トルク

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音譜今日もお読みいただきありがとうございました。 明日もよろしくお願いします音譜