アルキメデスが
「浮力の原理」を思いついた時のエピソードは
ご存知ですよね。
ヒエロン2世は金細工職人に金塊を渡して
神殿に奉納するための「誓いの王冠」を作らせました。
ところが、王冠が届いた後、
ヒエロン2世は、
金細工職人が金を盗み、
その代わりに同じ重さの銀を混ぜて
ごまかしたのではないかと疑い始めたのです。
金塊と王冠の重さは同じなので
もし銀を混ぜたとすれば、銀は金より軽いので
当然、最初の金塊より王冠の方が体積が大きいことになります。
しかし、王冠の体積を計るには
王冠を一度溶かして立方体にしなければいけません。
ヒエロン2世はアルキメデスをよんで
王冠を崩さずに体積をはかる方法をたずねました。
アルキメデスはすぐに答えることができず
その後何日間も、悶々と悩み続けていました。
アルキメデスがお風呂に入っていた時のことです。
お風呂に入ると、水面が高くなり、
お風呂の縁からお湯があふれ出しました。
これを見たアルキメデス、
ピ~~ンときたのです!!!
そうだ!、増えた水の体積を測れば王冠の体積を計ることができる!!!
ピ~~ンときたアルキメデスは
服を着るのも忘れて
「へウレーカ!へウレーカ!」(ギリシャ語で「わかったぞ!わかったぞ!」)
と叫びながら、裸のままで通りをかけ出したそうです。
結局、王冠はどうだったかと言うと、
銀が混ざっていることがわかり
不正がバレた金細工は死刑になったそうです。
このように、考えあぐねて行き詰っている状況の中で
一見何の関係もないことがヒントで
一気に問題が解決されたとなれば
裸で通りを走り出す気持ちもわかります。
アルキメデスの「ピ~~ンときた!」まではいかなくても
あなたも同じような経験はないですか。
ふとしたきっかけで新しいことに気づいて
頭の上の電球に明かりがついた瞬間てありますよね。
たとえば、推理小説や推理番組を見ていたとき
何かピ~~ンときたとか
難しい図形の数学を考えていた時
何気に引いた一本の線でピ~~ンときたとか
「どうしよう?」と考え続けていたことが
ジムのランニングマシーンで走っている時に
ピ~~ンときたとか
これらの「ピ~~ンときた瞬間」を
「アハ体験」と言うのだそうです。
これまで理解できなかったことが、何かのきっかけで
「あ!」っとひらめいたり、
突然理解できたりすること
いわゆる「ひらめき体験」のことだそうです。
「アハ体験」は
ドイツの心理学者のカール・ビューラー氏が提唱した
心理学上の概念で
「Aha」とはドイツ語で「なるほど!」とか
「へぇ~!」という感動詞なんですって。
アハ体験がどうして起こるのかははっきりしていませんが
「突発的なひらめきにより、脳の神経細胞が一瞬でつなぎかわることで
一気に問題が解決する」そうです。
ニュートンがりんごが木から落ちるのを見て、
その時の瞬間のひらめきが、後に万有引力の法則へと導きましたよね。
これも「アハ体験」
間違い探しの2枚の絵を見比べて
「見つけた~~!」
これも「アハ体験」
そして「アハ体験」で、現在私たちが日常で使っている「あるもの」を
開発した人たちがいます。
科学者のスペンサー・シルバーさんは
3Mの研究所で接着剤の研究をしていました。
彼は強くて丈夫な接着剤を研究するつもりだったのですが
表面にくっつくものの、しっかりと接着しない「謎の接着剤」を
作ってしまったのです。
それから何年もの間、ご自身が作った「謎の接着剤」で
何か商品開発ができないものか、と社内中に聞きまわり
その諦めない姿勢から
ついには”Mr. Persistent(粘り強い人)”とまで呼ばれるようになったそうです。
ある日
同じ3Mの科学者のアート・フライさんが
聖歌隊として教会で賛美歌を歌っていた時のこと
その日に歌う賛美歌のフレーズに
小さい紙をしおりとして挟んでいたのですが
ページをめくると紙が落ちてイライラ!
その時ひらめいたのです!!
「そうだ!あの接着剤を使えばいいんだ!」
「アハ体験」登場!!!!
こうして誕生したのが、もう誰もが知っている
「ポストイット」
ポストイットの誕生秘話にも
「アハ体験」があったのです。
ニュートン、アルキメデスには及ばなくても
興味のあることを少し深めていくと
「そ~なんだ。なるほど~!」と感じることもたくさん
そんな小さな「アハ体験」を大切にしていきます。
*********
無駄話にこそ
アイディアやひらめきが隠れている
堀場 雅夫 実業家
*********
今日もお読みいただきありがとうございました。 明日もよろしくお願いします。