1923年
松下電器が創業して5年目
松下幸之助さんは29歳の青年実業家でした。
年末の大掃除は恒例行事であったため
この日も全員で工場の大掃除をしたそうです。
一通り掃除が終わり、みんなが帰り支度に取りかかろうとした時
松下幸之助さんが見回りにいらっしゃいました。
「ご苦労さん、きれいになったな！」褒めながら
工場中を見て回りました。
そして、
トイレの戸を開けたのです。
実は、トイレだけは誰も掃除をしていませんでした。
トイレは誰もが利用する場所で
互いに声を掛け合ってきれいにしておく場所です。
松下幸之助さんの顔色が見る間に変わりました。
「もうお前らには、掃除はまかせへん」
松下幸之助さん自らコテを持って来て
便器にへばりついた汚物を取り始めたのでした。
それを見ていた
五島清一さん（後の三洋電機副社長）は
「私がやります。」と
雑巾を手に夢中で飛び出したそうです。
そして、2人、3人と続き、
一斉にトイレ掃除を始めました。
現在の水洗トイレとは違い
当時の工場のトイレは汚かったのですが
もう、汚いとか、臭いなどと言う気持ちは全くなく、
一番尊敬している松下幸之助さんにトイレ掃除をさせてしまったことが
恥ずかしくてならなかったそうです。
そして、やっと掃除が終わりました。
すると松下幸之助さんはニコニコしながら
「ああ、ご苦労さん。
汚いのによう辛抱してやってくれたなぁ」と、
みんなに太鼓焼きを3つずつくれたそうです。
（後藤 清一 「𠮟り叱られの記」参照）
松下幸之助さんは
「このトイレ掃除をしたことが
私にとって得るところが実に多かった。」と
著書「私の生き方 考え方」の中でおっしゃっています。
それ以降、他社の工場を訪問見学したときなど、
現場を見ただけで
経営がうまくいっているかどうかを
言い当てることができたそうです。
掃除が行き届いていれば
誰もが清々しく、気分がよくなりますよね。
松下幸之助さんは
掃除は仕事と同様に大切なことで
「普遍の修行」とおっしゃっています。
お掃除を大切にしてらっしゃるのは
パナソニック株式会社ではありません。
「かんてんパパ」でおなじみの伊那食品工業会長の塚越寛さんは、
著書「幸福への原点回帰」でこのようにおっしゃっています。
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掃除をしている姿は美しく
感動を呼びます。
掃除によって共感の輪が広がり
理解者が増えていくことを私も日々感じています。
美しいところには人が集まるのです。
いつも美しく整えられた会社があると
その波が広がって、町がきれいになり、
地域がきれいになり、いずれ国もきれいになっていきます。
掃除をはじめ、環境整備に意欲的に取り組み始めてから
すべてが良い方向に動いいてきました。
掃除と言うのは
人間の営みの基本中の基本なのですね。
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私もあるレストランで食事をしたとき
お料理はとても美味しくいただいたのですが
トイレに飾ってあった造花に
埃がたまっていたのを見て
お料理の味が半減した気分になったのを思い出しました。
「お坊さんが教えるこころが整う掃除の本」
の著者の松本紹圭さんは
「掃除にはセラピーのような効果がある。
初心者も上級者もありません。」
とおっしゃっています。
そうですよね、心が整いますよね。
事実、心理学的に見ても
ストレスを減少させるだけではなく
自分には成し遂げる力があるという自己効力感を高めるそうです。
また、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌が
増加するとも言われています。
小林正観さんによると
神様が喜ぶ行為は3つあるそうです。
１ そうじ （掃除）
２ わらい （笑い）
３ かんしゃ（感謝）
この3つの行為の頭文字をとって
「そ・わ・かの法則」と呼び、本も出されています。
もともと「そわか」とは般若心経で
「ことが成る」「ものごとが成就する」という意味だそうです。
「掃除」も「笑い」も「感謝」も
すぐにできて、お金もかかりません。
これらのシンプルなことを実践することによって
ものごとが成就して
人生はがらりと変わるのだそうです。
わぁ～、お掃除したくなっちゃった!!!
今日はどこをしようかな?!
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掃除一つできないような人間だったら
何もできない
本当は掃除を完全にするということは
一大事です
松下幸之助 パナソニック株式会社創業者
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ゴキブリの視点から見れば
髪の毛１本、食べかす1かけらが
超巨大な寿司やケーキに等しい
作者不明
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部屋を清めよ
天使が立ち寄れるように
S・デッサウ
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今日もお読みいただきありがとうございました。 明日もよろしくお願いいたします。