昨日に引き続き、今日も待ち合わせのお話です。

 

今ではスマホが一般化していて

小学生でも持っている時代

 

スマホの普及が始まったのが2000年代後半のこと

 

2010年にスマホの保有者の割合は4%でしたが

2023年には96.3%

 

なんと約24倍!

 

15年もたたない間に急速な普及率ですよね。

 

いつでもどこでも連絡が取り合える便利な世の中で

待つ時間も、さほど苦には感じられなくなってきました。

 

では、今から30年ほど前までの待ち合わせ事情はどうだったかと言えば

 

待ち合わせで会えない時は

 

☆    ひたすら待つ

☆    お互いの家に電話して伝言を伝えておく

☆    駅の伝言板にメッセージを書く

☆    そもそも遅刻しない

 

簡単に連絡が取れない分、

それぞれが時間を守る責任を持っていたように思います。

 

来るとは思うけど、本当に来るかな?

遅れちゃって、どうしよう・・・ 待っててくれるかな??

 

待ち合わせ自体に緊張感がありました。

 

今では見かけない駅の伝言板

 

待つ人が待たせる人への一方的な発信しかできないのですが

 

「先に行っています。」とか

「~で待っています。」とか

「~分待ちました。帰ります。」とか

 

ただのメッセージでしかないのですが

それぞれの言葉の裏から、待っていた人の思いが伝わってきます。

 

それに、「手書き」というのもいいですよね。

 

私も大学時代、

サークルの待ち合わせに遅れた人に、

みんなでメッセージを書いたのを覚えています。

 

1975年にヒットした野口五郎さんの「私鉄沿線」の中に

このような歌詞がありました。

 

♪ 伝言板に君のこと

♪ 僕は書いて帰ります

 

なんとも、物語ですね。

 

そんな伝言板ですが

1996年(平成8年)12月5日の

読売新聞の朝刊「家庭と暮らし」面で

「次々姿消す 駅の伝言板」と題して

 

待ち合わせにには便利だった駅の伝言板が

最近は若者たちのいたずらの場と化している。

携帯電話の普及で

頼りにされる頻度が減ったためとみられる。

 

と書かれています。

 

携帯電話の普及とともに

直接連絡を取り合うことが可能になったのです。

 

こうして

「駅の伝言板」「駅員さんの切符切り」など

「昭和の駅の風物詩」はすっかり消えてしまいました。

 

 

ところが、その伝言板が

2022年12月28日から2023年1月3日まで

東京の池袋駅構内に、昔懐かしいい黒板とチョークで登場したのです。

 

訪れた人が懐かしさやもの珍しさから

立ち寄って参加いただけるように、

そして、大切な人への思いを伝える

手書きのメッセージの温もりを

肌で感じられる場を作りたい

 

このような思いから設置したそうです。

 

そして

子どもから大人まで

大切な人に向けた思いを綴っています。

 

「おじいちゃん、野菜作り頑張ってね」

(小学2年の男の子から長野に住むおじいちゃんへ)

 

「パパいつもありがとう。良い思い出たくさん作ろうね。」

(38歳女性からご主人様へ)

 

「天国のパパへ 孫ができたよ。

今度連れて行くね。」

(亡くなったお父様へ)

 

「離れていても 大事に思っているぞ。」

「両親へ、いつもありがとう!」

「来年も元気に過ごそう」

「これからも大好き♡」

「母よ、冬休み楽しんでね」

 

両親や恩師への感謝の言葉、

友人への激励などのメッセージなど

 

約1週間で1000人以上の書き込みがあったそうです。

 

いつも感じてはいるんだけど

いまさら、面と向かっては言えない思いを

大きな黒板に手書きで書くことによって

 

新たに感じる取ることができたのではないでしょうか。

 

 

週刊朝日の記事によると

この伝言板が設置された池袋で、

高齢者の方々に「伝言板の思い出」を取材したところ

 

半数ほどの人が「利用したことある」と答えたそうです。

 

その中で「伝言板にはいい思い出があるよ」と告白してくれた

60代男性のエピソードです。

 

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当時、好きな女性がいてね。

 

その日、「付き合ってください。」って言うつもりで

彼女の最寄り駅で待ち合わせしたんだけど

いつまでたっても来てくれない。

 

会社に電話したら、もう会社を出たという。

自宅の電話も出ない。

 

伝言板に

「大事な話がある。いつもの喫茶店で待つ」と書いて、

2時間くらい待ったでしょうか。

 

彼女が「ごめ~ん」と申し訳なさそうに駆け込んできました。

 

そのころにはもう待ちくたびれて

告白するのは後日にしようと思ってたんですが、

 

彼女が言うんです。

 

「デートは来週だと勘違いしていた。

伝言板を見てびっくりした。

ところで大事な話ってなぁに?」

 

それで告白して、成功して

付き合い始めた彼女が今の嫁さんです。

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伝言板が生んだ素敵なロマンですね。

 

駅には人が集まります。

行き先も様々、目的も様々・・・

それぞれにドラマを持って、そしてすれ違っていきます。

 

そんな中で、待ち合わせがあり、

またドラマが生まれるんですね。

 

「令和の駅の風物詩」はどのようになるのでしょうね?

音譜今日もお読みいただきありがとうございました。 明日もよろしくお願いいたします。音譜