優しさの連鎖

サミュエル・ウェイデンホームファーさんは

オーストラリアのメルボルンで

様々な社会実験を行い、SNSに投稿しています。

フォロワー数はなんと540万人以上

その中の一つの動画が2880万回以上も視聴されるほどの

注目を集めました。

2022年11月

サミュエルさんはその動画の中では

街の人たちがどのくらい見知らぬ人に寛大なのかを知るために

通行人に食べ物を乞うホームレスに扮しました。

スマホを見ながら歩いてくる中年男性に

「すみません。とてもお腹がすいているんです。」と

声をかけます。

その男性はサミュエルさんを無視して

さっさと行ってしまいました。

サミュエルさんは別の男性にも声をかけます。

返ってきたのは

「君にあげるお金なんてないよ。」

誰もが足早に通り過ぎていくばかり・・・

ホームレスに扮したサミュエルさんを

相手にする人は

誰一人としていませんでした。

そんな中、

唯一、サミュエルさんに小銭をくれようとする人が

いたのです。

道に座りこんでいた本物のホームレスの男性です。

「もし、あなたが何か食べ物を持っていると嬉しいんだけど・・・」

サミュエルさんがそう言いました。

すると、どうでしょう！

そのホームレスの男性は

「食べ物はないんだけど、

小銭でよければ、少しだけどあげられるよ。」

そう言って、なけなしのお金の中から

小銭を取り出そうとしたのです。

サミュエルさんは感動！

ここでサミュエルさんは自分はホームレスでないことを明かし

親切にしてくれたお礼にと

500オーストラリアドルが入った封筒を

ホームレスの男性に手渡しました

その封筒には

「疲れていると思うけど

あなたにはあなたの夢が待っている。

ぼくはあなたを信じています。」

と書かれてありました。

このホームレスの男性の名前はトムさん。

7年ほど前からホームレス生活を送っているそうです。

トムさんは、封筒のメモを見ながら

しばらく考え込んでいましたが、

サミュエルさんに感謝の気持ちを伝えると

お互いにハグを交わし別れました。

その後、

トムさんが足早にどこかに向かったので

サミュエルさんはそっと後を追いました。

トムさんはスーパーマーケットに行くと

大量の買い物袋を手に出てきました。

それから、なんと、

トムさんは仲間のホームレスの人たちに、

さっき買った食料品を配り始めたではありませんか。

食料を受け取ったホームレス仲間はもちろん大喜び！

トムさんも嬉しそう！

みんながトムさんとハグや握手を交わし

優しさの連鎖が広がって行きました。

トムさんはサミュエルさんからもらったお金を

自分のためではなく

同じように困っている仲間のために使ったのです。

動画を観て胸を打たれた人たちからは

感動のメッセージが多数寄せられました。

「トムさんのために何かできないか」の声も挙がったので

サミュエルさんは

トムさんがホームレス生活を終わらせ

生活が軌道に乗るまでの費用のために

クラウドファンディングサイトで寄付を募り

すでに1万2000オーストラリアドル（約120万円）を超える募金が

集まっているそうです。

トムさん、素晴らしいですよね。

ホームレスで自分の生活さえ困っているのに

そのなけなしのお金から

サミュエルさんに少しでも分け与えようとしたトムさん

サミュエルさんからもらったお金を

全部自分のものにすることもできたはずなのに

食料を買って仲間に分け与えたトムさん

なかなかできることではありません。

マザー・テレサは

カルカッタの街に

8人の子を抱えてお腹を空かせている家族がいたので

お弁当を作って持って行きました。

すると、その母親は喜んで受け取った後

すぐにどこかに出て行ってしまったのです。

戻ってきた母親は

「実は隣の家族も

お腹を空かせている毎日だったので

半分あげてきました。」

と言ったそうです。

その後、マザー・テレサはこう言いました。

「貧しい人は偉大です。

飢えを経験した人には、他人の苦しみもわかるのです。」

本当の豊かさとは

他人に与えるものを持っている心を指すんですね。

アメリカの人間行動学の専門家のトム・ラス氏も

著書「人生はあなただけのものじゃない」で

人が幸せになるためには

自分の幸せだけを追い求めてはいけない。

「自分のバケツを水でいっぱいにしたいなら

まずは相手のバケツに水を入れてあげることを

考えなくちゃ。」

とおっしゃっています

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与えよ、さらば与えられん

アルフレッド・アドラー　オーストリアの心理学者

著書「幸せになる勇気」より

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「ギブアンドテイク」という言葉は

先に与えてから受け取っています。

「出入り口」も先に出てから入っています。

「呼吸」という熟語も

吐いてから吸っています。

まずは、与える気持ちを大切にしたいです。

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たくさん持っている人が豊かなのではなく

たくさん与える人が豊かなのだ

エーリッヒ・フロム　ドイツの社会学者

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