私が英会話スクールを経営していたころ

ある英語のセミナーに言った時のことです。

 

歩き回っていて、音楽が止まったら

一番近くにいる人と

最初の何回かは日本語で

その後の何回かは英語で自己紹介をする

というワークがありました。

 

日本語では

「初めまして小林です。よろしくお願いいたします。」

 

そして英語だと

“Hello! My name is Ikumi Kobayashi. Nice to neet you!.”

 

どちらも定番!

 

でも気がつきました。

 

名前を言う時

英語だと名前(ファーストネーム)だけかフルネーム

日本語だと名字だけ

 

先生が

「日本語でフルネームで自己紹介をした人いますか。」

と私たち参加者に聞いたところ、

誰もいませんでした。

(それ以来私は日本語でもフルネームで言うようにしています。)

 

文化の違いでしょうね。

 

英語圏では、自己紹介の中に

「私を……と呼んでください。」

と自分のニックネームを紹介することもあり、

 

男女間でも、少々年齢が離れていても

ニックネームまたはファーストネームで呼び合うことが

一般的です。

 

さらに、英語では

会話の中の端々に

相手のニックネームやファーストネームを

入れることが多いように思います。

 

当然、自分の名前が呼ばれると嬉しいですよね。

 

ただ「おはよう!」と言われるより、

「郁未さん、おはよう!」と言われた方が

 

「私に言ってくれてるんだ~」感が倍増し

距離がぐっと近くなった気がします。

 

このような効果を

「ネームコーリング効果」と言うのだそうです。

 

私たちは無意識に自分の名前を好ましいものと感じているので

 

会話の途中で何度も自分の名前を呼ばれると

 

「ひょっとして、この人は私に好意を持っているのかも・・・」

と感じ

 

「だったら私も好意でお返ししなきゃ。」

と言うことになり

 

それが次第にお互いの信頼関係へと発展していくのだそうです。

 

 

カリフォルニア州にあるクレアモント大学の

クラインク氏は

 

女子学生を集めて2グループに分け、

初対面の他大学の男子学生(サクラ)とペアで

15分間話をしてもらいました。

 

グループA

サクラの男子学生は会話中に女子学生の名前を呼ばない。

 

グループB

サクラの男子学生は会話中に時々女子学生の名前を呼ぶ。

 

その結果は

 

グループB(女子学生の名前を呼んだ)の方が

グループA(女子学生の名前を呼ばない)に比べ

2倍以上も

 

相手の男子学生のことを

「フレンドりー」「社交的」

「もう一度会いたい」とかなりいい感じの答えが

返ってきました。

 

 

アメリカ合衆国第26代大統領で

ノーベル平和賞を受賞した

セルドア・ルーズベルトは

 

使用人たちの名を残らず覚えていて

 

庭師、台所のお手伝い、下働きの人たちにまで

親しみを込めて一人一人の名前を呼んで

いたそうです。

 

 

人に好かれる

一番簡単で分かりきった

しかも一番大切な方法は

相手の名前を覚え

相手を名前で呼んであげることなのですね。

 

 

テキサス・コマース・パンクシェアズの会長

ベントンラブさんも

 

「会社というものは

大きくなればなるほど冷たくなる。」

と言った後

 

「冷たい会社を温かくするには

一つの方法がある。

人の名前を覚えることだ。

重役たちの中には

名前を覚えられないという人もいるが、

それは、仕事の基礎ができてないことを

告白しているようなものだ。」

と続けています。

 

名前の力はなんてパワフル!!

 

 

2014年10月に化粧品会社POLAが公開した

 “Call Her Name”と言うWeb動画があります。

 

ご覧になったことはありますか。

 

公開以来2か月で27万回以上も再生され、

 

第62回カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル、

釜山国際広告賞、アジア太平洋広告際、広告電通賞など

9つの賞に輝きました。

 

日本の女性は結婚して母親になると

77%の人が

名前ではなく「お母さん」や「ママ」などと

呼ばれれるようになります

 

そんな女性たちを

夫がファーストネームで呼ぶことによって起こるホルモンの変化が

この動画では検証されているのです。

(4人の女性が登場します)

 

いつもは「ママ」と呼んでいる彼女たちに

夫がファーストネームで声がけをします。

 

ちょっとびっくりした様子で

ちょっと恥ずかしそうに

それでいて

顔から喜びがあふれ出てくるような表情を見せる彼女たち

 

そして

彼女たちの体内では

愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンの濃度が

約15.9%も増加していました。

 

後のインタビューで彼女たちは

この様に言っています。

 

「名前で呼ばれた時は、

驚いたというより、ドキッとするような

キュンという思いが強かったです。」

 

「一人の女性として意識されている感じで

嬉しかったです。」

 

「女性として認められると生き生きしてきます。」

 

「ママより少し前の記憶を思い出せた感じがしました。」

 

名前で呼ばれることで

美しさの本能が再び花開いたのでしょう。

 

名前にはそんな秘められた力があるんですね。

大切にしなきゃ!

 

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職場で最高、と思う言葉がある。

使えば使うほど周りが生きる。

人間関係もスムーズになる。

その言葉とは何か。

「人間の名前」だ。

 

金平 敬之助 実業家

**********(デール・カーネギー「人を動かす」を参照しました。)


音譜今日もお読みいただきありがとうございました。 明日もよろしくお願いいたします。音譜