昔、「全国子ども電話相談室」という

ラジオ番組がありました。

 

放送開始は1964年

2008年まで44年間続きました。

 

月曜日から金曜日の16:00~16:30まで

(1997年からは日曜日の朝)

 

ダイヤル、ダイヤル、ダイヤル、ダイヤル、まわして

(ここで昭和の黒電話のジ~ッて音が入る)

パカスカ、パカスカ、パカスカ、パカスカ、きいちゃお

・・・・・こ~ども でんわ そうだんしつ~

 

このテーマソングが

平日の午後4時になると

ラジオから流れてきたのです。

 

午後4時は子どもたちが

学校から帰ってくる時間

 

現在なら塾や習い事で

子どもたちにとっては

一番忙しい時間かもしてませんね。

 

「学校から帰ってラジオの生放送に耳を傾ける」

なんて牧歌的で

良き昭和時代だったのでしょう。

 

 

質問に答えてくれるのは

教育評論家で僧侶の無着成恭さん

作詞家の永六輔さんなどの専門家

 

例えば

 

Q 天国に行ったらどうなるんですか。

A 学校やおうちでとっても楽しくすると、

     今生きてるままで天国に行けちゃうの。

     今生きているこの世を天国にしましょう。

(永六輔さん 放送作家)

 

Q 私が大人になるのはいつですか。 

人の心がわかり、人の立場に立って

  自分を見ることができるようになった時

  社会学的には「大人」になります。

  だから大人になるのは

  なかなか大変なことなんですよ。

  (無着成恭さん 教育評論家)

 

Q 宇宙とあの世はどっちが遠いのですか。

A あの世は一度行ったら帰ってこられないけど

  宇宙からは帰ってこられます。

  だから宇宙の方が近いんですよ。

  (無着成恭さん 教育評論家)

 

その他

☆    どうして総理大臣はころころ変わるの。

  (1994年、総理大臣が一年に3回も変わった)

☆    どうして工場の煙は黒かったり黄色かったりするのですか。

  (光化学スモッグ全盛期)

など

 

世相を反映した質問や

 

☆    好きな人に告白する言葉を教えてください

☆    なぜ雨は目に見えるのに、風は見えないの

☆    演歌はどうしてシブいんですか

☆    心はどこにあるのですか

☆    へその緒はお母さんのものですか

  私の物ですか

 

こんな子どもならではの質問に

生放送で答えてくれました。

 

 

実は、

私の長男も電話したんです。

 

というか、長男の意思ではなく、

私の好奇心が

長男を使って電話させたというのが正解です。

 

そのような訳ですから

質問はなんでもよかったので

長男が何を質問したか

全く覚えていません。

 

その時

長男は幼稚園の年中だったと思います。

 

当時はリスナーの電話番号の末尾が

偶数か奇数かで

電話受付を制限していました。

 

「よ~し、今日はOK」と思って

長男を横に初めて電話をしました。

 

たくさんの電話がかかってくるので

どうせダメだろうと思ってたら

 

なんと

 

繋がったんです。

 

もう、びっくり!

 

電話のお姉さんの声で

「お名前とお歳を教えてくださ~い。」

 

回答者の先生に替わって

「こんにちは」

 

「こんにちは」と言う長男

 

それをラジオで聞く母

 

ものの2,3分・・・

 

あっという間に過ぎました。

 

母の好奇心は大満足

 

「母に言わされている感」いっぱいの長男も

満足

 

後で知ったことですが

 

残念ながらオンエアされなかった質問にも

回答者が電話でちゃんと

回答してくれることに

なっていたそうです。

 

 

「全国子ども電話相談室」は2008年に

「全国子ども電話相談室・リアル」と改められ

2015年まで放送されていました。

 

いじめなどの切実な相談が

取り上げられるようになり

人生相談的な色合いが強くなったそうです。

 

子どもを取り巻く環境が

変わったんでしょうね。

 

 

「全国子ども電話相談室」と言えばこの人

といわれる無着成恭さん

 

教育者でもあり後に僧侶になられました。

 

純朴でおっとりした山形訛りの口調は

「全国子ども電話相談室」でも大人気

 

その無着成恭さんは晩年

「子どもの質問がつまらなくなった」

対談でおっしゃっています。

 

以下が対談内容です。

 

子どもの質問がつまらなくなったというより、

質問自体をしなくなった

と言った方がいいかもしれません

 

外で遊ぶ子供が減り、

子ども達はテレビゲームに熱中する

 

子供から疑問を持つ余裕を奪った時代が

きました

 

血の通った生身の人間に聞くより

パパっとインターネットで調べた方が

早い

 

だから大人との会話もなくなるという

悪循環

 

この地盤沈下が続けば

日本は滅びてしまうんじゃないでしょうか。

 

ここまでが対談内容です。

 

 

本当に深く深く考えさせられます。

 

♪こ~ども でんわ そうだんしつ~♪

 

インターネットの時代だからこそ

誰かが真摯に答えてくれる

 

こんな番組が

必要なのかもしれませんね。

 

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命の尊さをわからせる。

できる子どもを作るのではなく、

わかる子どもを作るのが

教育の一番の根幹

 

無着成恭 教育者・僧侶

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音譜今日もお読みいただきありがとうございました。 明日もよろしくお願いいたします。音譜