意味のないままで時間は過ぎて
理解しようとして気づいた
遠く離れた声がもう聞こえない
涙が落ちる
これが未来だというならいっそ
遣り切れない明日を手放して
声の聞こえない場所にひとりでいよう
暮れる世界の涙を知って
溢れだす理不尽を数えても
こんな日々を送る意味は
きっと見つけられないな
(♪じん)
沈んじゃいたい
どぼん と海に
ぶくぶくと泡の音
ヨットを追いかけていく魚たち
そうこうしている内に
わたしはどんどん深海へと吸い込まれていく
目に映るものすべてから突き放されて
ようやくひとりになれたというのに
深海魚が明かりを照らすの
きっとわたしを食べるためなのに
性懲りもなくわたしはまた
ゆらり つられて
罠の光に手を伸ばすの

ぽとん と浮かんでいた
白いわた雲は
迫りくるような青を滲ませたりしないで
ただ白く 白いままでいた
それでもいつかはいなくなってしまう
流れ 流され それが苦しくて
じぶんを溶かしてしまう
あたし あなたに会えてほんとうに嬉しいのに
当たり前のようにそれらすべてが悲しいんだ
今痛いくらい幸せな思い出が
いつか来るお別れを育てて歩く
誰かの居場所を奪い生きるくらいならばもう
あたしは石ころにでもなれたならいいな
だとしたら勘違いも戸惑いもない
そうやってあなたまでも知らないままで
あなたにあたしの思いがぜんぶ伝わってほしいのに
誰にも言えない秘密があって嘘をついてしまうのだ
あなたが思えば思うよりいくつもあたしは意気地ないのに
どうして
消えない悲しみも綻びもあなたといれば
「それでよかったね」と笑えるのがどんなに嬉しいか
目の前のすべてがぼやけては溶けてゆくような
奇跡であふれて足りないや
あたしの名前を呼んでくれた
(♪米津玄師)


淡いうすむらさきが、どんどん広がって。水を含んだ瞳のように揺れてる。6月の空はまだ少し透き通っている。
緑色のいろえんぴつをじっと見てた。塗り方がいまいち分からないんだ。だからね、今いちばん欲しいのはね、いろえんぴつの本なんだよ。
やり方さえ分かれば、きっといろんなことができる。わたしにも、できる。木漏れ日だって、遠くの山にだって、色を塗れる。難しいだけできっと。
きっと、できるのになあ。



あじさいすきです。雨がすき、っていうところがとても素敵です。
星型のラムネをばらまいてよ。ピンクとブルーとイエローのみずたま模様が降る。ガムボールもグミもチョコレートも選べないから、ほしい分だけ集めたいな。
太陽が転がって、夏になったみたい。人魚姫がアイスクリームを食べていた。
ぷかぷか笑うくらげが話してた。海は透明になろうとしてる。水になろうとしてる、って。グミ食べる?って聞いたわたしにくらげはうなずいた。ほしい、ほしい。ぼくも人間になる。それはだめだよって言ったら、おかしそうに笑ってた。冗談だよ。くらげのままでいるほうが、しあわせだろう?
そんなこと聞かないで。そうかもしれないね、って答えたら、くらげは沈んじゃった。
グミ、食べる?だれもうなずかない。気がついたらひとりぼっち。今更手を差し出しても遅いの。嬉しかったのに。それを認めたくないばかりに、ぜんぶ消してしまおうとする。
星型のラムネはどこ?あの黒いボラードは?ちりばめられたきらきら光る石は?どこに行ったの?海が透明になろうとするから、わたしも変わっちゃった。憶えてることぜんぶ話すから返してくれないかな。もとに戻してくれないかな。
レインコートを買ったのだけど、雨が降らないな。冷たいシャワーを浴びるのはとても苦手。寒がりすぎて疲れちゃうよ。
雨が降ったら、電気をつけるの。年上の人が苦手なの、どうやったら治せるかな。見られるのが怖いんだ。いいこでいないといけない。
雨が降ったら、カエルが笑うんだよ。泳ぎ方を教えてもらってた、9歳の頃にね。でも泳げなかった。平泳ぎってすごいね、プールサイドでいつも見てたよ。
雨が降ったら、どこにも行けないとおもってた。だから知らないよ。本を読むのが好きだった。電気をつけるの。
雨が降ったら、あじさいを見に行こう。雨が降ったら、雨に濡れたらね、あじさいになれるかなあ。