「月9」なんて、と思っていた。
一時ほどの勢いはないにせよ、なんだかんだいってリア充向けのドラマには違いないだろうから。

今年の1月~3月に放送された「デート」もそんな認識で第一回目を見た。
そこに描かれていたのは「恋愛不適合者」2人の物語だった。

何事も合理的にしか考えられないリケ女の藪下依子(杏)と、高等遊民と称し、労働を拒否して生きるニートの谷口 巧(長谷川博己)。二人の出会いから結婚までの過程がコミカルに描かれる。

もちろん、このドラマも非リア充向けに作られているわけではないだろう。一応コメディという体裁をとっている以上、リア充の人が、うまく恋愛できない主人公の姿を見て笑えるように作られてはいる。

しかし、同じようにこのドラマを恋愛不適合者の視点で見ると、笑うどころかむしろ共感することのほうが多い。その構造にこのドラマの妙がある。

ヒロイン依子を演じた杏もいい。メガネに片三つ編み、ぱっつんの前髪。とにかく何事にも合理的にしか生きられない不器用な姿が愛おしい。(少女時代役を演じた内田愛も可愛かった)

ドラマの中ではあるけれど、彼女がどんな生き方をしてきたのか、思いを馳せずにはいられない。
「あなたには心が無い」今まで14回もそう言われた彼女の心境はいくばくであったろう。

僕が愛おしいと思うのは、見た目がきれいで明るくて誰とでも仲良くなれるような人ではない。自分の中に何かを抱えて、それとしっかり向き合い、もがき苦しんでいるような人だ。
そんな人たちにこそ幸せが訪れてほしいと願わずにはいられないのだ。