2000年代が終わるということで、テレビではこの10年を振り返るような企画が多い。
まぁ、この場合は10年単位での「2000年代」ではあるけれど、一つの区切りになることは確かだ。

10年前ほど前には「ミレニアム」や「20世紀最後の年」と言って盛り上がっていた記憶がある。
ちょうどその頃発売された、下川みくにのアルバム「39」には2000年代の始まりをテーマにした曲が2つ入っている。
ひとつは1999年から2000年への旅立ちを歌った「2000EXPRESS」、もう一曲は1年後に終わる20世紀に別れを告げる「サヨウナ ラ!20世紀の僕たち」。

「2000EXPRESS」は、特急列車に乗って新しい年代へ疾走していく様を、好きな男性に対する女の子の思いと重ねて表現している。

 夜が明ける 新しい二人になる
 訳はないけど 少しだけバージョンアップ

時間の流れに乗るのではなく、それを追い越してでも先に進もうとする力。
当時19歳の彼女にとっては、それはリアルに感じる思いだったのではないか。
得意のハイトーンで歌われる、広瀬香美作のこの曲は聴いていてとても気持ちがよかった。

そしてもう一曲「サヨウナラ!20世紀の僕たち」。
こちらは、1年後に迫った21世紀を前に、古い自分を捨て去り、新しく生まれ変わろうとする姿が歌われている。

 サヨウナラ20世紀の僕たちは いつも後悔ばかりで
 サヨウナラ20世紀の僕たちは 夢と現実離れすぎていて

ちょうど彼女はチェキッ娘が活動停止し、一人のシンガーとして立ち上がっているところ。
そういった意味でも彼女の思いと重なるところがあったのだろう。
僕も、それまでの自分の嫌な部分を切り捨てて、新しい世紀を迎えたいという気持ちでこの曲を聴いていた。

正直、10年前彼女を見たとき、その後10年も活動を続けるとは思ってもみなかった。
ルックスもいいし、歌も上手かったけれど、当時の流行りとはちょっと違っていると思っていたからだ。
(それも含めて応援していたのもあるけれど)

そんな僕の心配をよそに、アニメの主題歌を中心とした歌手活動も順調で、現役のまま10周年を迎えた。
自分自身を振り返ってみても、この10年それなりのスピードで駆け抜けてきたように思う。

思えば10年前、僕は携帯電話も持っていなかった。
10年前に持っていて、なくしてしまったもの、10年前に持っていなくて、手に入れたもの。
どちらもたくさんある。

10年後の世界はどうなっているんだろう。
10年後の自分は何を手にしているんだろう。

ちょっと不安で、ちょっとドキドキする。