傷を癒すのはきっと 痛いくらいの愛かも知れないね

よく「男女の間に友情は存在するか？」という質問があるが、僕は基本的にないと思う。
ただ、友情でも恋愛でもなく、もちろん「友達以上恋人未満」というような次元でもない、また別の関係ならあるように思う。

２年ほど前のドラマ「セクシーボイスアンドロボ」のロボとニコの関係がそうだ。
24歳のオタク青年ロボと、14歳の中学生ニコ。
二人はふとしたことから出会い、日常に迫る事件に立ち向かっていく。
その姿はまるで、この世界の謎を解き明かそうとしているかのようだ。
自分が生きてきた証、愛する人に会いたい気持ち、そして自分自身を信じる意味。
時に寓話的な出来事の中で、二人は成長していくのだ。

このドラマの中での大後寿々花が素晴らしい。
セーラー服に二つ結びの髪。これが抜群に似合う。
学校で、路上でたたずむ彼女の美しさ。何か思いを秘めたような黒目がちな瞳。
そしてどこか冷めた視点で語られる彼女のモノローグ。
エンディングでは、それにみつきが歌う主題歌「ひとつだけ」が重なる。
最後の一言に収束していくような構成が、強烈な印象を残す。

いったいロボとニコの関係は何なのだろう。
お互いに「友達」と言っているし、ロボに対してニコが嫉妬するようなシーンもあるが、この二人には友情とも恋愛とも違う繋がりが感じられる。
言葉にはできない。でも、その繋がりを持ってこそ困難に立ち向かっていく力を持つようなもの。

たぶん、恋愛なんて誰でもできる。
でも、友情とも愛情とも違う、二人だけにしかわからない関係は、限られた人しかできない。

「ロボ。ロボ。」
彼女の声が聞こえる。
セクシーとは反対の、何よりも澄んだ声が。