11月3日、遠征2日目は岡山県の最高峰にして歴史ある修験の山、後山へ。
その手前に連なる通称“美作アルプス”の山々を縦走して目的地を目指すため、岡山県側の登山口にあたる西粟倉村を目指す。
未明に宿泊先を出ると、昨日に引き続き纏わりつくような湿気と霧が立ち込める陰鬱な景色が広がっていた。
コンビニで買い物を済ませて姫新線に乗車。
車窓からの景色は未だ暗い上に霧に包まれ全くと言って良いくらい判然とせず面白みが無い。
辺りの景色が見えてきたのは乗り換え駅の上月駅に着く少し前辺りからだった。
乗り換え駅の上月駅にて。
辺りは相変わらず霧に覆われている。
同じく姫新線の播磨新宮駅行きに乗り換え。
どうせなら、一つ先の智頭急行乗り換え駅の佐用駅まで行ってほしいところ。
佐用駅で智頭急行に乗り換え目的のあわくら温泉駅に到着。
朝っぱらからの乗り換えラッシュに地元の山に登っている気分(笑)
駅から線路に沿って戻るように南下し道の駅あわくらんどに着いたら左手の坂道を山に向けて登っていく。
ここから登山口まで暫くは普段なら退屈な車道歩きだけど、この道は違った。
生き物の多様性を示す道路の染みと化した動物の轢死体。
サワガニやイモリ、たまにモグラのような小動物の死骸が歩く度に目に入る。
生きた個体もごく僅かながら見かけるけど、残念ながら殆どは惨い状態だ。
生活に必要な道路として仕方無いのだろうが、少しはアニマルパスウェイの造設など野生動物に配慮した環境整備をしてほしいところ。
尤も都市部に住んでる私がセミや鳩をありふれた生き物として見るように、地元の人たちからすればそこら辺で良く見掛ける生き物故に無関心なのかも。
路上を彷徨う上陸したばかりのアカハライモリを救出して山にリリース!
すごく元気で可愛かった。
野生個体は初めて見るのでめっちゃ感動(笑)
早朝の低温で動きが緩慢なヤマカガシも棒で掬って山にリリース!
前日の那岐山といい、今回の遠征では中国山地は生物多様性の高さも大きな魅力だという事が分かった。
舗装路を延々と登っていき、駅から1時間少々で野鳥苑登山口に到着。
立派な佇まいなのに廃墟となっているのが惜しいところだ。
ここ野鳥苑は嘗ての駒の尾山メイン登山口だったらしいが、林道が駒の尾山登山口まで開通して以来はすっかり利用されなくなったのだとか。
これを知ったのは後日で、当時は祝日で人気の山の筈なのに人の気配が全くないのを訝しく感じたものだった。
野鳥苑から先はくねくねと続く未舗装の林道を緩やかに登っていく。
先程まで路上で見掛けた生き物は姿を消し、単調で退屈な道だ。
あまりに退屈で相当集中力が切れていたのだろう、何も考えずにボーッと登っていくうちに異変に気付いたのはかなり登った地点でのことだった。
明らかにこれは本来歩く登山道ではなく林業用の作業道だ。
作業道の開けた地点で地図を確認すると恐らく道がある尾根から外れていて、今いる地点は恐らく黒岩山の南斜面だろう。
さて、どうする。
かなり進んでしまったため、道を間違えた地点の野鳥苑まで戻るのはかなり手痛い時間ロスだ。
今回はコースタイム的にかなり逼迫していたので登山を諦める選択肢が頭を過る中、どうせ諦めるなら黒岩山の山頂まで登ってみて尾根伝いに駒の尾山登山口を目指してみる考えが浮上。
試しに先に進んでみて駄目そうなら潔く諦めよう。
これは無闇に実行した訳ではなく、距離的に離れていないことと人の手が入った植林で且つ険しい地形ではないことが判ったからだ。
枝分かれする林道を何度か行き止まりに阻まれながら上へ上へと登っていくと、果たして登山道のように整備された道を見つけた。
それにその道は本来登るべき尾根の方へと続いていたから、本来のコースに復帰できるのではと期待した。
真っ白な看板の裏手に道があるとはまず判らないだろう。
駒の尾山登山口は林道を進んで直ぐだった。
前日に歩いた那岐連峰の景色を今一度見たかった。