南アルプス・黒戸尾根より憧れの甲斐駒ヶ岳に挑む(竹宇駒ヶ岳神社〜刃渡り〜七丈小屋) | 単独行者の山行録

単独行者の山行録

歩いた山々の記憶を詳らかに。
山行中心の備忘録。

甲斐駒ヶ岳はずっと前から憧れていた山で、最初から登るなら黒戸尾根でテントを背負って真剣勝負を挑むと決めていた。
元々楽したり最短距離で頂を踏むようなピークハントに魅力を感じなかったし、それで登ったことにしたくない性分だが、憧憬と畏敬の念を抱いていた甲斐駒ヶ岳だけは殊更その考えが強かった。
毎年のように挑む機会を窺ってきたものの、梅雨の天候不順でトレーニングが追いつかず万全の体制を整えることができなかったので、なかなか挑戦の機会を得ずにいた。
今年は例年に比べると梅雨シーズン中に山行を重ねることが出来ていた中、7月7日〜7月8日にかけての連休が偶然にも山梨県付近だけ晴れ予報だったので、いよいよ好機到来と挑むことにした。

7月7日
始発の特急あずさで小淵沢駅を降りると、駅前には既に前日に予約したマウンテンタクシーの乗務員さん が既に行き先を記した看板を抱えて待機してくれていた。

このタクシー、車を持たない私のような経済的弱者にとって大変心強い味方で、一人辺り1000円で一人からでも運行してくれる、願ったり叶ったりの交通手段なのだ。

何れ八ヶ岳の再訪や未踏の日向山や雨乞岳登山の折に利用しようと思う。

運転手のオバちゃんとくっちゃべながら30分少々タクシーに揺られ、登山口の尾白川渓谷駐車場に到着。
日本三大急登の黒戸尾根の入口に遂に来たのだと身が引き締まる思いだ。
今上陛下も登られた由緒正しい歴史ある黒戸尾根の記念碑。
統創日の三大カルトが牛耳る国政と偽りの民主主義など廃して、天皇親政による泰平の世の招来を心より望んでいます。
竹宇駒ヶ岳神社付近は観光やレジャーなど、そこそこの人出。
境内奥の吊り橋から尾白川を見下ろす
吊り橋を渡った対岸からいよいよ長大な黒戸尾根の登りが始まる。
苔に覆われた石祠が往年の修験の道であったことを感じさせる
林内は蝉の大合唱
横手口からのコースと合流
辛うじて一部の文字が読み取れる風化が激しい石仏
コアジサイ
ミヤマタムラソウ?
一面笹が覆う山腹をトラバース
三大急登と呼ばれるだけに延々と登りが続くのかと思いきや、これは予想外。
ところが、このトラバース区間を終えた辺りから三大急登の名に恥じない登りが連続。
ここまで余裕だった私も急登に次第に疲弊していく。
風景の変化が乏しい退屈さもあったが、何より樹林で風通しが悪く、蒸し暑かったのがかなり堪えた。
途中から強雨に晒され思わずカッパを着込むことに。
登山道の随所に残る山岳信仰の面影
有名な刃渡り。
鎖があるので怖くないと専らの評判だったけど···
ワンミスでの墜落死は高所恐怖症のビビリの私にはかなりのプレッシャー。
直前の降雨で滑らないかと余計に不安だった。
左手は数百メートルに亘って切れ落ちる断崖。
とても覗き込む勇気の無い私は精々1メートル手前まで。

黒戸尾根名物のハシゴ道。
滑りそうな見た目に恐々としたけど、グリップが効きやすい滑らないような作りになっていて、全くその心配はなかった。
祠が祀られた刀利天狗
苔の世界が広がるなだらかな黒戸山のトラバース区間。
降雨後の苔は瑞々しく輝いて一際美しい。



苔の林床にひっそりと咲くイチヨウラン
100m程下って鞍部の5合目へ。
正面に立ち塞がるように聳える切り立ったコブはどのように通過するのだろう?
鞍部は割と広い平坦地で、かつて5合目小屋があったそう。
左手の斜面には沢山のゴミが散乱していて少し嫌な気分にさせられた。
5合目の碑に囲まれた祠
ここからいよいよ登山道は険しさを増していく。
断崖の際に掛けられた斜度は緩いけど長いハシゴ。
新しそうな足場は以前調べた情報にはなかったので最近作られたものかな?
何れにせよこれが有ると無いとでは心理的プレッシャーがかなり違う。
上から。
万が一転落しても崖の手前の足場の手摺に引っ掛かりそう。
岩の上に並ぶ碑
一応ロープはあるけど···それでも緊張してしまう高所恐怖症のわたくし。
それにしても、普通なら十分な幅なのに高所だとどうして心許無く感じてしまうのだろう。
こっちにも石碑
あっちにも石碑···とマスターソード。
これぞ修験とゼルダの時を越えた融合!(何を言ってるのか分からない)
ハシゴからの
連続する鎖場は一番緊張した区間。
一応踊場はあるけれど、転落したら谷底に真っ逆さまだろう。
この後間もなく七丈小屋だったので、この区間がよく取り上げられている小屋直下の核心部なのだろう。
吾妻連峰縦走に続いてのマイヅルソウ
七丈小屋付近のコケモモ
14:34七丈小屋に到着。
早速テン場の手続き。
小屋から少し登ったところに幕営。
先着のそれぞれ足立区と和歌山から来たソロの方と山談話。
せっかく退屈凌ぎに小説を2冊持ってきたのに、シュラフに包まるまで延々と喋っていたので全く出番はありませんでした(笑)
テントのファスナーを開けると、正面に日本百名山の鳳凰山。
位置的にも丁度良く、景色も優れた悪くないテン場だった。(小屋やトイレと少し離れているのがネック)