6年前 に訪れた長大な道志山稜上に位置する山梨百名山の今倉山に比して、派生する尾根の北端に位置する猿焼山は何らタイトルを得ていない存在感が皆無な不遇の山だ。
登山道はあるものの、麓の芭蕉月待ちの湯から赤線がピストンで引かれているのみで他の著名な山に繋がっている訳でもなく、無冠のこの山だけを目的に訪れる人は殆どいないだろう。
日頃から暇さえあれば地図と対面して登山の計画を練っている私もかなり前から猿焼山の存在は知っていたものの、わざわざ安くない交通費をかけてピストンしかできないこの山を訪れることはないだろうと考えていた。
数年前に道志山塊の大部分を歩き尽くすに及んで、ふと猿焼山のことを思い出した。
猿焼山と今倉山、赤線も破線も繋がっていないこの尾根を繋げることはできないか。
早速調べてみると幾つか参考になりそうな記録が出てきたので、リスク低減のため日が長く木々が緑で覆われる前の見通しの良い4月に計画に移そうと機会を窺っていた。
今年になって漸く条件に見合う休みができたので、未踏の今倉山以西の稜線と赤岩からの大展望も楽しみに、快晴予報の4月8日に実行することにした。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220419/18/pleasure-hby/a4/56/j/o1080060715105294535.jpg?caw=800)
富士急行の赤坂駅に着いたのは8:09。
途中京王線で顔色が真っ青になるような便意に襲われ高幡不動でトイレ下車した為、計画より到着が遅れると思われたが何とかその後の乗り換えがスムーズにいった為時間通りに着くことができた。
駅から登山口までは5kmの道程で決して短い距離ではないので短縮したいところではあるが、今回の計画に利用できるバスは始発を乗り継いでも間に合わないので、潔く駅から徒歩で向かいます。
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県道711を歩いて道志山塊の懐深くへと入っていくと、正面に今回後半に歩く道志山稜西端の山々が見えてきた。
予報通りの雲ひとつ無い快晴の好条件にバリエーションルートへ挑戦する緊張感が幾分か解れると共に赤岩からの大展望への期待が募っていく。
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赤坂駅から約1時間かけて漸く登山口に到着した。
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薄暗い植林帯に道を塞ぐ倒木の数々。
踏み跡もしっかり踏み固められた感じではなく、人気の無さを実感する。
↑の画像は登山口から直ぐの地点だが、奥に見える倒木が斜面に取り付く屈折点を隠していて危うく直進しそうになってしまった。
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今年初めてのカナヘビは生まれたばかりのミニサイズ。
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急坂を登って一座目の城ヶ丸(878m)。
出だしから中々の急坂だな、溜め息をついたのも束の間、ここから先急なアップダウンが延々と連続するとは夢にも思わなかった。
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登山口から40分少々で9:58猿焼山に到着。
いよいよここからバリエーションルート。
猿焼山から鞍部へは早速の急坂でスリップに気を付けながら慎重に下っていく。
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これから歩く樹間からの南側前方の景色。
いかにも多そうなアップダウンに目眩が···
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バリエーションだけど尾根に沿って打たれた境界杭のお陰でルートを外す心配は殆ど無し。
それに加えて踏み跡も微かにあるし、冬枯れの樹間から情報を得られるので、想定以上にルート取りは容易だった。
しかし、、、
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全てのアップダウンがかなりの傾斜。
登りは呼吸を安定させるため、下りはスリップに気をつけながら慎重に、グッと歩調を落として進んでいく。
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エビラ沢ノ頭手前は岩場の痩せ尾根。
樹間から秋山山稜の倉岳山や遠くに奥多摩山々が見える。
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残雪の雲取山や奥秩父の稜線を望見
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残雪の大菩薩連嶺の遠景と正面に九鬼山
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エビラ沢ノ頭(1,039m)
一旦下って引き続き尾根伝いに歩いていくと樹間越しに尾根を塞ぐように聳える高まりが垣間見えた。
そう見える場所は往々にして難所であることが多いが、その手前に到達すると果たして壁のような登り返しが行く手を阻んだ。
幸い木の根など掴んだりステップとなるようなものは多く、やってやろうと気を引き締めて取り付いたが、途中で右手西側へトラバース気味に登る踏み跡とロープが見えたので張り付きながら横移動してそちらに移った。
バリエーション区間全体を通して逆周りだとかなり難儀しそうなコースだ。
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